9月決定会合も「緩和維持」だが
根強い米インフレ圧力、円安再加速
日本銀行は9月の金融政策決定会合で、事前の予想通り、緩和政策の現状維持を決めた。
前回7月の会合で長期金利の許容上限を1%まで引き上げるとの修正が実施されたが、その上限金利まではまだ余裕があり、追加修正の必要に迫られていなかったためと考えられる。
会合後の記者会見で植田和男総裁は、「現時点では経済・物価を巡る不確実性は極めて高く、政策修正の時期や具体的な対応について決め打ちできない」として、市場の一部にある早期の緩和修正の思惑をけん制。
同月30日に行った日本金融学会での講演でも、「2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、なお出口には距離がある」としている。
日銀は、来春闘である程度の高い賃上げが確実に見通せる最速2024年春先を念頭に、ゆっくりと時間をかけて金融引き締めに転じることを想定していると考えられる。
しかし、米国では、根強いインフレ圧力から長期金利が上昇するなど、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の動向も見通しづらくなり、一方で円安も再び加速しかねない状況だ。
植田日銀の「ベストシナリオ」実現には高いハードルがある。