メルカリ上級執行役員 SVP of Japan Region(メルカリグループ日本事業責任者)兼 CEO Marketplace、メルペイ取締役、メルコイン取締役の青柳直樹氏メルカリ上級執行役員 SVP of Japan Region(メルカリグループ日本事業責任者)兼 CEO Marketplace、メルペイ取締役、メルコイン取締役の青柳直樹氏。写真は2021年4月に撮影

決済事業「メルペイ」やクレジットカード事業「メルカード」など、メルカリグループの金融事業を作り上げ、現在は日本事業の責任者を務める青柳直樹氏が、近くメルカリを去ることがダイヤモンド編集部の取材で明らかになった。日本事業責任者を後任に譲り、しかるべきタイミングで退任する計画だという。会社を辞する理由はどこにあるのか。また、青柳氏は次なる“新天地”をどこに求めているのか。キーマン退社の裏事情を明かしていこう。(DIAMOND SIGNAL 編集長・ダイヤモンド社新規事業開発室副部長 岩本有平)

メルカリ金融事業の立役者・青柳氏
社内の全体会議で「退社の意思」を表明

 10月末、メルカリグループで日本事業責任者を務める青柳直樹氏(現・メルカリ上級執行役員 SVP of Japan Region〈メルカリグループ日本事業責任者〉兼CEO Marketplace、メルペイ取締役、メルコイン取締役)は、オンラインで開催された社内の全体会議で「退社の意思」を表明した。

 青柳氏といえば、メルカリの金融事業を成長させた立役者である。その功績は数字でも明らかだ。2023年6月期における金融事業の売上高は前期比29%増の312億円。金融事業を連結売上高1720億円の約2割を占めるまでに成長させた。

 それだけではない。またメルカリの発表(同決算期)によると、メルカード保有者の発行後3カ月目のメルカリ利用ARPU(1人当たりの平均売上金額)は10~60%も上昇しているなど、金融事業は祖業であるマーケットプレイス事業にも好影響を与えている。

 かつて青柳氏は、18年9月にダイヤモンド編集部が実施したインタビューで「(金融事業には)5年、10年とコミットしなければいけない」と語り、長期戦で金融事業を成長軌道へ導く覚悟を語っていた(詳細は『メルカリの金融子会社が描く「日本のキャッシュレス社会」の未来』参照)。

 金融事業責任者に就任してから6年。青柳氏は近々、日本事業責任者を後任に引き継いだ後、しかるべきタイミングでメルカリから離れる予定だ。メルカリ関係者の証言によれば、退社後は意外な「新天地」の分野において起業を検討しているという。

 果たして、青柳氏が電撃退任を決めた理由はどこにあったのか。次ページでは退任の真相を明らかにするとともに、青柳氏が描く「ネクストキャリア」の詳細についてもお伝えする。