僕と(山田)進太郎さんの間では、未来がはっきり見えている――。『週刊ダイヤモンド』9月22日号の第一特集「新・価格の支配者 メルカリ」の拡大版として、メルカリの幹部たちのインタビューを特別連載でお届けする。4回目は、メルカリの金融子会社メルペイの青柳直樹社長に、メルカリが作り出そうとしているエコシステムの構想について詳しく聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之、委嘱記者 村井令二)

単純なEコマースと
金融の枠を超える

メルペイ青柳直樹社長
あおやぎ・なおき/1979年生まれ。慶大総合政策部卒。02年ドイツ証券でテック企業のIPOやM&A支援を手掛ける。06年にグリー入社、株式上場やゲームプラットフォーム立ち上げを主導し、11年から米国サンフランシスコ赴任。16年9月にグリー取締役を退任。17年11月にメルペイ代表に就任。Photo:DW

――青柳さんが着任した時、5年先を構想する「よげんの書」をまとめたそうですが、どんなことが書かれているんですか。

 僕がメルカリに入ったのが2017年11月で、そこから1週間くらいでメルペイのメンバーと議論して作ったのが「よげんの書」。それに、投資や人員の計画も書かれているので、全部は話せませんが、(メルペイの構想は)全部書かれてあります。

――メルカリは、メルペイの決済事業で何を目指しているのでしょうか。

 メルカリに入る前に、僕と進太郎さんとで未来を語り合いました。

 今やろうとしていることは、単純なEコマースと金融の枠を超える話です。インターネットの中のコマースや決済は、スマホやデジタルに閉じないで、よりリアルな店舗で、リテールや金融サービスが広がっていきます。

 メルペイの決済ビジネスは、各社がキャッシュレスで競っていて、利用者を増やさないといけないし、使われる場所を増やさないといけないので、すごく大変なビジネスです。ただ、それだけで捉えずに、その先に広がるものまで俯瞰したら、投資する価値がある社会インフラでしょう。つまり、決済だけで収益を上げなくても、エコシステムが広がっていけば、とても面白いことができると思っています。

 まさに、アマゾンが食品スーパーのホールフーズを買収したり、アリババが生鮮スーパーをやっているように、OMO(オンライン・マージズ・オフライン)というインターネットとリアル店舗が融合する世界になっていくでしょう。

――そもそも山田進太郎会長とはどこで知り合ったのですか。

 私がドイツ証券を退社して、グリーに入ってから知り合いました。2010年にグリーは、SNSサイトのゲーム開発を他社にオープン化したんですが、その準備を進めていたとき、ベンチャー企業のウノウでゲームをヒットさせていた山田に参加を提案したのがきっかけです。

 ただ、ちょうど10年に山田は米ソーシャルゲーム大手のジンガに会社を売却してしまったので、結果的にグリーがウノウのゲームを扱うことはなく、当時は2人の関係が深まることはありませんでした。

 むしろ、山田と個人的に親しくなったのは、私が米国サンフランシスコのグリー・インターナショナルに赴任してからのことです。14年6月に山田から「いまUSの開発をしているんですが、相談させていただきたいです。ちょうと2週間サンフランシスコにいるんですが、会えないでしょうか」と、フェイスブックにメッセージが届いたのです。