ライドシェアの安全性は「解決済み」本当に重要なのは“既得権益”の問題だ写真はイメージです Photo:PIXTA

ライドシェア解禁を巡る議論をよく目にします。私は、長期的な視野で解禁の方向に動いた方が良いと考えます。「ある視点」で考えれば、皆が得する未来を描くことができるからです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

ライドシェアを巡る議論は
平行線をたどっている

 菅義偉前首相が講演で「ライドシェア」の解禁に向け議論すべきだと発言して以降、日本でもにわかにライドシェア導入議論が始まっています。同じ神奈川県の小泉進次郎氏や河野太郎氏もライドシェアに積極的な発言をしている一方で、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟は導入論に慎重な意見を表明しています。

 テレビの報道番組でも何度かこの問題は取り上げられました。私もふたつの番組で業界の代表者と消費者が激しく討論する様子を拝見しましたが、議論は常に平行線になるようです。

 消費者の側から見ればそもそもタクシーが捕まらないエリアや時間帯が存在することや、道順がうまく伝わらないことや、近距離だと露骨に嫌な顔をされるなど、タクシーに対する一定の不満が存在します。そういった消費者の中で、アメリカに出かけてライドシェアを体験して、ライドシェアの方がサービスがいいと感じているわけです。

 急増するインバウンド客はタクシー不足の原因でもありますが、彼らも言葉が伝わりにくい日本のタクシーよりもライドシェアがいいという意見は根強くあります。

 一方で、業界の側は素人が運転手をするライドシェアの危険性を主張します。タクシー会社は法律や国の指導に沿って、2種免許を取得した従業員にさらに研修や管理を行うことで乗客の安全を確保してきました。コストをかけ投資をしているのに、その投資をしなくてもいいライドシェアとの競争は安全性が保たれず不公平だというわけです。

 平行線をたどるこの議論がかみ合うためには、+αで新しい視点が必要だと私は考えているのですが、その話の前に両者の議論を確認しておきましょう。