深刻すぎるトラック運転手不足!もし稲盛和夫が物流企業の経営者だったら…どう解決する?Photo:PIXTA

「経営の神様」と称された稲盛和夫氏の経営哲学を、自らの経営に生かしていた物流企業の経営者がいた。その人物の経営手腕を振り返ると、「稲盛氏だったら『物流の2024年問題』をどう解決するか?」という問いの答えも見えてくる。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「経営の神様」稲盛和夫氏にほれ込んだ
物流業界の名経営者がいた

 全国区の知名度があるというわけではないが、かつて衆議院議長だった綿貫民輔氏の息子で、綿貫勝介氏という人物がいた。トラック輸送の会社であるトナミホールディングスを率いる名経営者だったのだが、2022年12月23日に63歳で若くして亡くなってしまった。

 綿貫氏は、「和の経営」と労使協調路線を重んじ、持続的成長を求め、利益が出せる筋肉質な経営にこだわり続けた経営者だった。

《時代のニーズを企業の先見力で読み取ることを大切にし、1980年代前半に独自開発した「システム物流」や国際物流にも尽力。特積みをはじめとする実運送と倉庫運営、情報システムを強みにした3PLを主力事業に押し上げた。安定的な事業基盤の構築へ、業界内の協調も鍵とし、第一貨物、久留米運送をはじめ他社との協業を推進。攻めの姿勢でM&Aにも取り組んだ》(「輸送経済」23年1月17日)という。

 22年3月期には燃料高で運輸各社の業績が伸び悩む中、過去最高の営業利益をたたき出している。

 そんな綿貫氏は、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏にほれ込み、経営哲学を徹底的に自分の経営に生かしている。経営者の後進への推薦図書では稲盛和夫著『生き方』を挙げ、「人間としての本質が書かれており、経営をしていく上で、参考とさせていただいております」(「富山経済同友会会報」15年3月)と推薦の言葉を残している。

 そんな綿貫氏の経営を振り返ると、「稲盛経営」が至る所で実践されていることがうかがえた。そして、「日本全体の課題となっている『物流の2024年問題』を稲盛氏だったらどう解決するだろうか?」という問いの答えも見えてくるのだ。