「ホワイトすぎて会社を辞める若手」が増えていると、最近取り沙汰されている。「この会社では成長できない」と辞めていくそうだ。自分が「成長する」という点でも、部下や後輩を「成長させる」という点でも、成長に関する悩みはいつの世も尽きない。ただ、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏は、「成長」について明確なイメージを持っていた。(イトモス研究所所長 小倉健一)
入社4日目で会社を辞めた
22歳女性の告白に大反響
最近の新入社員は、「この会社にいると成長できないから」「先が見えない」といって、会社を辞めていくのだという。大学卒業時に、就職氷河期だった私の世代からすると、本当にびっくりするような事態だが、人間、甘やかされすぎるというのも居心地が悪いのだろうか。厳しすぎるのも論外、甘やかしてもダメ、とりあえず仕事を与えてみても「思っていたのと違う」などと言って辞めてしまうとなると、管理職としても頭痛のタネであろう。
就職氷河期をくぐり抜け、ろくな就職ができずに何とか恩情で入社させてもらったような人が多い私たち世代にとって、「会社をすぐ辞める」ということがまずあまり理解できなかった。
私は、長い間、経済誌「プレジデント」の編集部で雑誌をつくっていたので、これを企画にできないかと考えた。題して「会社をすぐ辞める若手社員の頭の中(仮)」だ。外部のライターや人を頼って、会社をすぐ辞めた新入社員を探し、どうして辞めたのかを詳しくインタビューしたのだ。
まず、入社4日目で退社した女性(22歳)がいた。彼女は、「卒業したらフリーターになって、勉強してから公務員になろうと思っていました。ほかにワーキングホリデーにも興味がありました」といった考えを持っていたのだが、就職をしろと母親に泣きつかれて、大学4年生の秋に就職活動を開始。とりあえず受けた会社で即内定が決まったという。