厚生労働省は11月15日、肥満症治療薬「ウゴービ」(ノボノルディスクファーマ製)を、公的医療保険の対象にすると決定しました(22日から適用)。2023年は肥満症の「新薬ラッシュ」の元年。好評連載『医薬経済ONLINE発』から、23年1月5日に公開した記事をもう一度、ご紹介します。(ダイヤモンド編集部)
2023年は肥満症の「新薬ラッシュ」の元年になるかもしれない。厚生労働省は22年11月28日の部会で、大正製薬の「アライ」(成分名=オルリスタット)を要指導医薬品として承認することを了承した。3月末にも正式に承認する見通しだ。処方箋なしに薬局で買える国内初の肥満対策のOTC薬で、ちまたでは早くも「やせ薬」「ダイエット薬」などと紹介されている。
アライは食事で摂った脂質の体内での吸収を抑える作用があり、あくまで肥満に対する「補助的」な薬剤。このため正確には肥満症薬でなく、「脂肪吸収抑制薬」という呼称になりそうだ。購入には必ず薬剤師による指導と情報提供を受ける必要がある。運動や食事療養と組み合わせたうえで、腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上の「腹部が太め」な人が対象。18歳以上で高血圧や糖尿病といった健康障害がないのが使ううえでの条件となる。
アライはやせたい人にとって期待の新薬だが、大正としても待ち望んでいた新製品となる。というのも、大正は09年に英グラクソ・スミスクラインから日本での権利を取得して開発、申請したのは4年も前の19年3月で、その間、ずっと棚晒しとなっていたからだ。それが、ここに来てあっさりと承認される方向となった。何が起きているのか。