「お酒の前にウコンを飲むといい」
は、本当か?
「何も食べずに飲酒すると小腸や胃での吸収が速くなって血中エタノール濃度が急激に上がるので、肝臓にもよくありません。また、食べずに飲むことを繰り返していると、脳の活動や生命の維持に必要なエネルギー源を生成するために、手足などの筋肉のタンパク質がアミノ酸に分解されます。肝臓はそのアミノ酸を使ってエネルギーをつくりだすのです。お酒が好きであまり食べない人が、げっそりと不健康なやせ方をするのはそのためです」
つまり、酒を飲むときには食べた方がいいわけだ。だが、だからといって飲酒時にたくさん食べたり〆に麺類をすすったりを繰り返せば、肝臓内に中性脂肪が蓄えられ脂肪肝になってしまう。
「脂肪肝から肝硬変や肝がんになる人も増えているので、何事もほどほどが肝心です。ウイルス肝炎も減っているとはいえゼロにはなっていないので、まだ肝炎ウイルス検査を受けていない人は感染していないかどうか血液検査で調べることも大事です」
さらに、飲酒前にウコンのエキスを飲む人もいるが、「ウコンが肝臓によい」という説は本当なのだろうか。ウコンは、ショウガ科の多年草の植物で、カレー粉に含まれる黄色の色素ターメリックの材料になっている。
「残念ながら、ウコンが肝臓によいかどうかは分かっていません。むしろ、サプリメントによる肝機能障害の報告の中で最も多い単一成分はウコンです。実は、サプリメントや薬で肝障害が起きることは少なくありません。不要な薬やサプリメント、健康食品には手を出さないのが肝臓を守る秘訣の一つです」
(監修/竹原徹郎 大阪大学大学院医学研究科消化器内科学教授)