「毒親に育てられました」
そんな悩みに対して「人生の主導権を取り戻す方法」を語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
ネガティブを書き換えよう
人間が考え方をあらためたり、変えたりするのは、
「このままではいけない!」
「めんどくさい自分を変えたい!」
と、理性的な自分が問題を自覚したときです。
ネガティブな感情の自分に悩まされているのなら、理性的な自分でジンクスをつくり、「ハラ落ちする体験」を起こして、書き換えてしまえばいいのです。
過去を書き換える方法を、「毒親に育てられた」と語る男性を例に解説しましょう。
「ヘリコプターペアレント」の影響
シンジさん(仮名)は、親からの厳しすぎるしつけを受けて育ちました。
それにより、「親のせいで自分は“指示待ち人間”になってしまった」と語ります。
過保護すぎたり、しつけが厳しすぎる環境に育つことは、いい子に育つように見える半面、「自主性が育たない」ということにもつながります。
最新の研究では、親が子どもに与えるしつけや教育の影響は、それほど大きいものではないことがわかっています。
とはいえ、家庭や養育環境が、その後の人生に悪い影響を与える可能性はあります。
というのも、「食事のときはテレビを見ない」というような家庭のルールを、大人になっても続ける人は多いからです。
そんな家庭のルールが、あまりに社会のルールとギャップがあると、将来的に子どもの人生観や、価値観にまで影響を与えるそうです。
アメリカでは過保護すぎる親のことを「ヘリコプターペアレント」と呼びます。
子どもの周囲をヘリコプターのように飛び回って世話を焼き、交友関係にまで口を出す。
日本では、「過保護系の毒親」と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。
ヘリコプターペアレントに育てられた子は、将来的に「燃え尽き症候群」になりやすいということが、フロリダ州立大学らの研究によって明らかになっています。
燃え尽き症候群というと、ストレスフルな環境で働く人が、急にうつ病っぽくなるような症候群として知られています。
しかし、先ほどの研究では、過保護すぎる環境で育った子どもは、勉強や受験でのストレスに耐えきれないと言います。
シンジさんは、幼少の頃から「ある体験」をしてこなかったと語ります。それは何でしょう?