1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。
価値観を理解し合うとうまくいく! 親子のタイプ別対処法
子育ての悩みの多くは、動物園型から牧場型へ移行できないことに起因しています。
一度、放牧するコツをつかめば、あとは子どもの成長に合わせて柵を広げていけばいいだけです。ところが理屈でわかってもそれが実行できず、いつまでも親が子どもを思い通りに管理してしまうと、問題が多発するのです。
「なぜそんなことをするのか、子どものことがよくわからない」「自分と違う性格でイライラする」という声もよく聞きます。これも、自分を基準に判断するからわからないのであって、子どもには子どもの基準、価値観というものがあるわけです。
それに気づくヒントが、マルチタスク型、シングルタスク型という発想です。
ここからは、「子どもには子どもの価値観がある」「子どもは親の思い通りには育たない」と理解したうえで、では実際にどう対応すればいいのか、親子のタイプ別対処法についてお伝えします。これによって、“放牧”子育ても進みやすくなります。
欠点に見えていたことも、才能の片鱗として輝く
親が自分をチェックする際、自分が10代の頃どうだったかと思い出し、当時の傾向がどうだったかをチェックしてみてください。現在の自分の状態で判断すると異なった結果が出ることがあります。
というのは、たとえば本来はシングルタスク型でマイペースでも、その後、仕事の環境によってテキパキ動かざるを得ない状況になり、スキルとして迅速処理を習得することがあります。しかし、そのような方はスキルで実践しているだけであるため、本来の自分の特徴が変わったわけではありません。
このように、かつてどうだったのかという視点でチェックすると、本来の自分のタイプがわかります。また、それでもわからない場合は自分のことをよく知っている人(パートナーなど)にチェックしてもらうといいでしょう。
チェックは「傾向」としていずれかを選択してください。今回の簡易チェックテストでは、「どちらにも当てはまる」という回答はなしでやってみてください。
親と子どものタイプが、同じマルチタスク型やシングルタスク型の場合、お互いの価値観が似ているのでそれほど大きなトラブルは起こらないでしょう。
問題は、親と子のタイプが異なるケースです。
子どもは自分と違う判断基準を持っていると認識すれば、その子の好きなことややりたいことを尊重できるようになるはずです。そうすると当然、評価も変わるでしょう。今まで欠点に見えていたことも、その子の才能の片鱗として輝いて見えるかもしれません。親と子のタイプによって、とるべきアプローチ方法は異なりますから、ぜひそのコツを身につけてください。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。