第一生命Photo:SANKEI

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は第一生命ホールディングス、かんぽ生命保険、T&Dホールディングスの「生命保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

生命保険3社は
いずれも減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生命保険業界3社。対象期間は2023年5~9月期の四半期(3社の対象期間はいずれも23年7~9月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・第一生命ホールディングス
 増収率:マイナス7.1%(四半期の経常収益2兆5333億円)
・かんぽ生命保険
 増収率:マイナス4.6%(四半期の経常収益1兆5202億円)
・T&Dホールディングス
 増収率:マイナス4.5%(四半期の経常収益7112億円)

 生命保険業界3社は、いずれも減収だった。

 最も減収率が大きかった第一生命ホールディングスだが、24年3月期第2四半期累計の経常利益は前年同期比で増益となっている。その要因は何だったのか。また、同社が過去3期と今期の4期にわたって訂正・下方修正を行った「ある指標」にも注目したい。その指標は、第一生命ホールディングスの業績の行方を占う上で重要な情報をもたらす存在であり、今期の見通しも下方修正された。その影響について掘り下げよう。

 加えて、3四半期連続で前年同期比減収となったかんぽ生命保険の現状についても見ていく。