自腹で800万円を負担して
ニウエに携帯回線を通す
今でこそインターネットが早く繋がるけど、当時はインターネットは遅いし、携帯電話が繋がらなかったんです。まず携帯電話の回線を繋ぐことをやってあげようと思いました。受け入れてくれたから恩返ししようと思って。
普通に基地局を立てたらコストが高くつきます。調べるとギークの人たちが作っている自作基地局のようなものがあって、800万円くらいを自腹を切って導入しました。
電波を飛ばすには国の許可が必要かなと思って、首相に頼んだら1日で許可がおりました。内閣で話し合って合意が取れたからと言っていましたね。小国ならではのスピード感です。アラームクロックとして使っていた携帯電話に急に電波が入ったことでみんなびっくりしてましたね。
首相からは「君のおかげだ」と感謝されて、このまま長く住むんだったら、困ることもあるだろうから永住権を出してくれました。ここだけの話だけど、3年間いないと出しくれないんだけど、2年間で出してもらいました。このようにして信頼関係を築いていきました。
2010年の上海で万博の際は、中国語を話せるスタッフとして同行しました。外交で言うと、日本をはじめとする諸外国との国交締結にも尽力いたしました。日本からODAをもらえることになり、その計画を立てる手伝いをしていました。このように政府からさまざまな仕事をしているうちに首相補佐官に任命されました。
このように、大学の学部を決めきれなくて休学してから今まで、そのときにやりたいことを自由にやってきました。特定の分野で打ち込めるものをずっと探してきたのですが、未だに見つかっていません。最後まで読んでくれた読者の方の中にも、「やりたいこと」とか「どうなりたいか」といったことに対して明確な答えを持てずに悩んでいる人がいるかもしれません。しかし、重要なのは今やりたいことをやること。そして、ビジネスや経済の現状に対する認識をしっかり持つことで、なんとでもなります。次回は、「儲け話の見つけ方」というテーマで、世界中を飛び回って見つけたビジネスチャンスとそれを見つける方法についてお話しいたします。
(ニウエ国 首相補佐官 和田泰一)