みずほFGがようやくリテール改革実行、楽天にかけた“フック”がもたらすものとは?Photo by Yasuo Katatae

みずほフィナンシャルグループが、リテール事業の遅れを挽回すべく、三つの具体的な施策を打ち出した。中でも楽天証券への追加出資は、金額以上の果実がありそうだ。ただし、手放しで喜ぶわけにはいかない事情もある。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

個人向け金融サービスで
打ち出した三つの改革案

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が、個人向け金融サービスの改革に本腰を入れ始めている。

 11月に公表したのはみずほ証券による楽天証券への29.01%の追加出資と、みずほ銀行の約10年ぶりとなる新規出店、さらに顧客の取引状況に応じて商品やサービスを提案するためのグーグル・クラウド上に構築したプラットフォームの試験運用開始の三つ。他のメガバンクと比べて劣後していると、自他ともに認める個人向け金融サービス分野で、ようやく具体的な施策が打ち出せた格好だ。

 実際、他メガはみずほFGの一歩も二歩も先を走っている。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2023年3月に、三井住友銀行の口座や三井住友カード、ポイントなどの残高の情報を一元管理し、振り込みなどの各種手続きがスマートフォンアプリで行える「Olive」(オリーブ)をスタート。獲得したアカウント数は140万件を超える。

 アプリ内では、資本業務提携を結ぶSBI証券など他社と連携し、“オリーブ経済圏”を急ピッチで拡大している。

 店舗改革についても、三井住友銀行は既存店舗を「ストア」と称する新型店舗に衣替えを進めている。従来のように、窓口で振り込みなどあらゆる手続きができる店舗ではなく、オリーブの活用・相談に応える場という位置付けでイオンモールなどに出店し、個人顧客の囲い込みに躍起だ。

 銀行各行が個人向け金融サービスに力を入れるのは、日本銀行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再柔軟化の影響が大きい。個人顧客を増やし、より多くの預金を獲得することは、銀行の先々の収益機会を確保するために重要なのだ。

 そんな中で打ち出した、みずほFGの改革策。果たして、先行する三井住友FGとの差を埋められるのだろうか。次ページで検証していこう。