【お寺の掲示板121】てえへんだ、てえへんだ、この俺が死ぬなんて左:大賞受賞作品(妙圓寺)、右:仏教タイムス賞受賞作品(光蓮寺ビハーラハウス)

6回目となった「輝け!お寺の掲示板大賞2023」の受賞作品が発表されました。毎週2本ずつ、各賞の受賞作品をご紹介して参ります。あまりにも暑かった2023年は、著名な新興宗教団体の教祖や中興の祖が亡くなるなど、時代の変わり目を強く感じさせる一年でした。世相も反映した今年の掲示板の数々を振り返ってみましょう。(解説/僧侶 江田智昭)

 発する 「ことば」と自分の行い

輝け!お寺の掲示板大賞2023」に今年も数多くのご投稿をいただきまして、誠にありがとうございました。6回目となった今回は、7月1日から9月30 日までの応募期間内に過去最高の4107件の投稿がありました。応募期間を3カ月に短縮したにもかかわらずこれだけ多くの投稿があり、大変ありがたい限りです。

 栄えある大賞作品は、妙圓寺(東京・渋谷区)の作品「ことばだけ立派な者は敵である 釈尊」に決定しました。この言葉に関しては、連載第118回でも紹介させていただいておりますので、そちらもぜひご覧ください。

【お寺の掲示板121】てえへんだ、てえへんだ、この俺が死ぬなんて妙圓寺(東京) 投稿者:@renkouzan [2023年9月9日] 

 この掲示板の言葉は、『シンガーラ経』に依拠しています。この中に、「ことばだけ立派な者は敵であって、友に似たものに過ぎないと知らねばならない」(鈴木隆泰『本当の仏教第4巻』興山舎)とあります。

 普段ニュースなどを見ていると、この世界は「ことばだけ立派な者」で溢れていると憤りを感じることがあるかもしれません。しかし、その“立派な者”の一人として、しっかり自分自身も含まれていることを忘れてはなりません。お釈迦さまは常に、言葉と行動が一致するように注意されていました。

 この掲示板の言葉を使って他者の言動を非難するのではなく、自分自身の言動を省みることが大切なのです。