今もっとも楽しくて熱いのは、
同じ価値観を共有する「有料サロン」
米田:この10年間くらいって、はあちゅうさんがやってきたことを時代が追っかけてきた、とも言えそうですね。ブログとリアルをかけてコンテンツにするのも、今やみんなやり始めましたし、ステマ(ステルスマーケティング)もそうですね。そういう嗅覚の鋭さは独特のものがありますね。はあちゅうさんからみて、今、注目しているサービスって、何かありますか?
伊藤:しばらくはソーシャルメディアがこのまま続くと思いますが、今、関わっていて私が一番楽しいと感じるのは、オンラインの有料サロンです。友人と一緒に運営している「ちゅうもえの楽屋にいらっしゃい♪」というサロンですが、会社員でも無理なく更新できるし、読者の方ともつながっていられる形だから、私にはすごく向いていて。今年1月、日本最大の有料サロンになったんですよ。
米田:有料サロンにもいろんな仕組みがあると思うのですが、それはどういうものですか?
伊藤:フェイスブックの秘密グループ、つまりメンバー以外にはグループの名前もメンバーリストも、グループの存在についてさえも表示されない場所でやっています。会員はもうちょっとで500人。月会費は1000円です。
米田:そこでは普段どんな話をしているんですか?
伊藤:話題の中心は自分の今まさに考えていることや、感じていること。それから、美容やおいしいご飯のこと。あとは今の彼氏の話とか恋愛ネタも赤裸々に(笑)。
米田:へえ、そんなことも書いているんだ。それはクローズドなコミュニティじゃないと語れないですね(笑)。
伊藤:ええ、あと仕事のやり方や考え方について書くこともありますね。諸先輩方からみたら私なんて、高々社会人4年目にしかすぎないと思うのですが、私なりに4年間やってきて考えた仕事の工夫とか思いがあるんです。それを幅広い人ではなく、趣味趣向が似ている同世代とシェアしたくて。
米田:確かに仕事論って、年代や経験によって大きく違いますよね。大先輩の話より、同じような価値観の人の意見を聞きたいというニーズがあることは、僕も肌で感じています。
伊藤:たとえば東大を出てMBAとか持っているエリートの仕事論を聞くと「おお、すごい!」と感嘆しますけど、同じキャリアは簡単には積めないじゃないですか。だから参考にならないんですよね。その点、私はあまり特別でないっていうか……普通の女子なんです、私自身が。本を執筆するとなると考えがきちんと完成されてなければいけないし、なんだかすごいことを言わなきゃ、と肩に力が入っちゃうんですけど、サロンではまだ考え途中みたいなアイディアも気負わず正直に書ける。そういう空気感が、心地いいんです。
米田:完成形じゃなくて、考えがまとまるまでの「途中経過」も楽しめるってところが、参加者にとっては面白いんですよね。有料メルマガも近い部分がありますが、誰でも気軽に使えるオープンなツールを使って、クローズドなコミュニティを運営するという楽しみ方に関心が移っている気がしています。すべてをオープンにする時代から、セミクローズドなコミュニティ、ちょっとだけ開いているドアに入りたくなるような……今後はそんな動きが加速するでしょうね。はあちゅうさんのお話を聞いてそんなことをますます強く感じました。今日はお忙しい中、お話をうかがえて光栄でした。
伊藤:こちらこそ、ありがとうございました。(談)
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