短期間で英語を話せるようになりたい――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的な話す力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「日本にいながら、自力で英会話力をアップする方法」について話を聞いた。

日本にいながら自力で英語力を伸ばす1つの簡単な方法Photo: Adobe Stock

楽しみながら英語に触れる時間を増やす

――日常的に英語に触れる量を増やすおすすめの方法はありますか?

森秀夫(以下、森):英語が身につかない要因の1つに、英語に触れる絶対量が不足していることがあげられます。

 確実に英語に触れる絶対量を増やすには、時間をかけることしかありません。

 楽しみながら英語に触れる量を増やす1つの方法として、YouTubeなどの動画サイトで英語の動画を視聴してみるのはいかがでしょうか。

ただ聞き流すだけでは、英語力は上がらない

――どのようなチャンネルを選ぶとよいでしょうか?

:何を言っているのかわからないネイティブの会話を、ただ聞き流していても、効果的な英語習得にはつながりません。

 自分で理解できるやさしいレベルの動画から、視聴してみてください。私は、中学レベルの英語からスタートすることをおすすめしています。

 たとえば、Nas DailyというYouTubeのチャンネルでは、中学レベルの簡単な英語だけで構成されている動画を字幕付きで視聴することができます。

 ビデオクリエイターのNuseir Yassinさん、通称Nasさんが、世界中を旅しながら、その冒険や発見を短い動画として発信しているチャンネルです。

 世界中の知られざる偉業を成し遂げた人物や、世界各国が直面している社会問題なども学べて、多くの英語学習者にとって、楽しみながら観ることができると思います。

 話している英語は、中学校レベルのシンプルな英語で、字幕も付いています。もし、わからない英単語や表現が出てきても、映像が理解を助けてくれます。

 このように、できるだけ簡単な英語を話している動画を字幕付きで、繰り返し見ることで、楽しみながら英語に触れる時間を増やせるのではないでしょうか。

音読で、聞いた表現を自分で使えるようにする

――森先生は、『見たまま秒で言う英会話』でも音読の重要性を強調されていますが、動画を視聴して音読するときのポイントはありますか?

:次のような方法が効果的だと思います。

① 映像と音声で、概要を理解する。
② 字幕を確認して、理解を深める。
③ 意味の分からない英単語があれば、辞書で調べる。
④ 音読をする。
⑤ 字幕の英文で覚えたいものを書き取って覚える。
⑥ 数回音読した後にシャドーイングをする。短い動画ほど、シャドーイングに適しています。

 日本人が英語につまずく大きなポイントは、「ネイティブスピーカーの会話スピードの速さ」です。

 ネイティブスピーカーが1分間に話すスピードは、160 wordsと言われていて、たいていの人は聞き取れません。

 この問題を解消するには、英語のスピードに慣れていくしかなく、慣れるための最も効果的な方法は、英語話者と同じスピードで話す練習、つまり音読をすることなのです。

 まずは、自分が理解できるコンテンツを使って練習を継続することが大切です。

 たとえ、多くの時間を確保できなくても、毎日10分間でもいいので、英語の音読やシャドーイングを続けてみてください。毎日1つの動画を見るだけでも英語力向上に役に立ちます。

 英語はすぐに上達するものではありませんが、毎日少しずつ続けていれば、数か月後には、今までと違う英語を話している自分に確実に出会えることでしょう。