24年のドル円相場
鍵を握る内外金融政策
来年のドル円相場を展望すると、各国のインフレの展開とそれに対する金融政策面での対応が引続き鍵を握る。
先物市場が織り込む今後1年間の短期金利の変化をみると、最近は米国、ユーロ圏ともに0.5%程度の小幅の低下という予想に収斂している。市場が現在織り込んでいるのは、24年に米国、ユーロ圏ともにインフレの緩やかな低下が進み、春頃には中央銀行が利下げを開始し、その後は似たようなペースで利下げが進むという展開だ。
これに伴って割高さが目立つドル高の修正も進んでいき、行き過ぎた円安の修正が徐々に進むとの見方が市場の大勢であろう。
円が買われるのは、日本では緩和的な金融政策が続き、多少の正常化はあっても利下げはないという点で金利の方向が欧米と逆であることが大きい。急速に減速に向かう世界経済の中で、日本の成長率や企業収益の相対的な底堅さが目立つことも追い風となる。
ただ、こうした為替予想を左右する24年にかけての各国の成長やインフレ、金融政策の動きを巡る不確実性は非常に大きい。市場の織り込みと異なる展開となり、ドル円相場に有意な影響を与えるサプライズの火種が、日米欧の金融政策それぞれにおいて存在することを忘れてはいけない。