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【税務署に狙われる!】相続で注意すべきNo.1は「妻のへそくり」Photo: Adobe Stock

妻の預金は夫の相続財産?

 読者の方の、親御さん世代のご夫婦なら、妻が専業主婦という方も多いと思いますが専業主婦が多額の預金を持っている場合、気をつけていただきたいことがあります。

 実は、「妻の預金が夫の相続財産になることがある」のです。それを知らず大変な目にあった人はたくさんいるのではないでしょうか。

 2年前に開業医の夫を亡くしたAさん(65歳)。
夫の相続税の税務調査で、5000万円の預金の申告漏れを指摘され、子どもの納税分も合わせて約1300万円(うち、ペナルティ約240万円)を支払うことになったと、肩を落としています。

 申告漏れを指摘されたのは、Aさん名義の口座。Aさんは、忙しい夫から毎月生活費を渡され、やりくりしていたと言います。子どもの学費など大きな出費は、その都度夫の口座から支払いをしていたので、使い切れなかった生活費はAさんの口座に残っていました。結婚40年の間にその額が5000万円になっていたのですが、それが、夫の相続財産だと指摘されたというのです。

 このように、大変な目にあうのは、往々にして相続税の調査の時です。税務調査で税務署が見たがるのが、この「妻名義になっている夫の預金」=通称「名義預金」なのです。

 夫から家計費をもらい、使い切れなかった分を妻名義の預金にため込んでいるような場合、この預金は夫の財産として相続税の対象になる、というのが税務署の考え方です。

 この感覚、理解しがたいですよね。「がんばってやりくりして貯めた私の預金がなんで夫のものなのよ!」と文句を言いたいところですが、税務署はそうは思ってくれません。

 普通の人は、妻名義の預金が夫の相続財産になるなんて思いもしませんから、税務調査で見つけ出せれば、追加財産とすることができるというわけです。

 もちろん、妻が稼いだお金や妻の実家から相続でもらったものなど、妻本人のものであることが明確な分については、夫の財産になるようなことはありません。問題になるのは、夫から渡された家計費などで使い切れずに残っている分です。税務署としては、これは妻の名義になっているが、夫が稼いできた夫のお金であると考えるのです。

へそくりを妻の財産にするためには

 これを夫の財産とみなされないようにする方法はあります。一番いいのは、夫から渡された家計費は使い切ってしまうこと。夫婦はお互いに扶養の義務がありますので、生活費をどちらかが負担しても贈与などと言われることはありません。

 夫からの高い生活費を使い切っても、ヨーロッパ一周旅行の数百万円を夫が負担していても、贈与と言われることはありません。とはいえ、妻も長い老後を考えると、もらった有り金を使い切ってしまうのは危険かもしれません。

 それならば、しっかりと夫から「贈与」されたと明らかにしておきましょう。

 生活費が余った分は、夫から妻にあげるという約束をして、それを証明するために契約書を作っておくのです。そして、もし年間110万円を超えたなら、贈与税の申告をします。こうしておけば、贈与の証拠が残せますから、へそくりは晴れて妻のものというわけです。

 *本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋し新原稿を加えて編集したものです。