定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されます。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
個人事業主で稼ぐと社会保険料が高くなる可能性がある
前回の記事で、バリバリ働いても年金をカットされないための2つの方法を提案しました。ただ、個人事業主として働けば、いくら働いても年金をカットされることはありませんが、自営だけで稼ぐと、国民健康保険料が思いのほか高くなってしまうことがあります。
それをも防ぐ一番おトクな「究極の裏ワザ」は、社保に加入している会社に勤めながら、個人事業主として自営業をすることです。
個人で稼ぐ以外に、低い給料で会社勤めもする
勤め先では、年金が減らされない程度の低い給料に抑えてもらいます。一方、副業で個人事業主としてしっかり稼ぐことができれば、年金も減らされることがない上、社会保険料も低く抑えられます。
完全に自営業だけだと国民健康保険に加入することになり、バリバリ稼ぐと、国民健康保険料も高くなってしまいますが、会社で社会保険料を払っていれば、国民健康保険に加入する必要はありません。給与が少なければ負担する社会保険料も少なくてすみます。
これなら、自営業でバリバリ働いても、社会保険料が高くなることはありませんし、年金も減らされないですむ、というわけです。
自営の傍ら会社勤めをして年間54万円も社会保険料が安くなったAさん
定年退職後、前職の経験を活かしてコンサル業をはじめたAさん(62歳 東京都)ですが、2年ほどたつと大きな案件も入り始め、年間利益が500万円近く出るようになりました。妻は57歳専業主婦です。
Aさんの所得に対する国保の年間保険料は約51万円。それ以外に妻の国民年金保険料が約19万円かかるので、合わせて約70万円の負担になります。社会保険の負担は地味に大きいですね。
もし、Aさんが自営の傍ら、パートなど会社勤めをして、仮に月額9万円の給料をもらい、その会社の社会保険に加入すると負担する社会保険料は、年間約16万円で済むのです。その差年間54万円!
しかも、この金額には、健康保険料に加えて、妻と自分の厚生年金保険料も含まれているので、断然オトクなんです。
社会保険に加入するには、1週間の労働時間が20時間以上、月額賃金が8・8万円以上などの条件があります。条件を満たせるよう、詳細は会社と相談することをおすすめします。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。