多くの人が『人との対話』に苦手意識を抱いている。できればすべてメールですませたいという人すら。残念ながら「人と話すこと」をゼロにはできない。仕事となればなおさら。いったいどうやって克服すればよいのだろう。
答えは実はシンプル、あなたの発するひと言を変えるだけだ。周囲を緊張させたり、気持ちを萎えさせたりするNGな言葉から、その場の空気をあたたかくするひと言、自然な会話を生む言葉へと切り替えてみよう。
そこでいま話題を呼んでいるのが、3万人に「人と話すとき」の対話術を指導してきた人気ファシリテーション塾塾長の中島崇学氏の著書『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』だ。
今回は、同書から特別に抜粋。ミーティングや打ち合わせ、会議などで時間が限られているとき、参加者が自然と前向きに話し合い始めるようになるひと言を紹介する。
はっきり終了時間を伝えてみよう
話し合いに集中するために大切なのは、終了時間を共有することです。
「○時間で終了」「○時までに○○を決める」と伝えると、とたんに集中します。
さらに、みんなに合意してもらえれば、全員で協力してその時間を守ろう、という空気になります。
◎「1時間で、整頓されたオフィスのイメージを全員が共有し、分担を決めます。賛同していただける方は挙手を」
一方的に決めずに問い掛けて挙手してもらい、「しっかり合意を取り付ける」のもいいでしょう。しかし「1時間で大丈夫でしょうか?」と聞いてしまうと、不安な空気が生じるので避けましょう。
◎「予定の1時間で終わらせましょう。お忙しいなか工面していただいた貴重な時間です。集中して最高のアイデアを出しましょう」
このくらい言い切って、気合いで暗示をかけたほうがうまくいきます。「私が考えたルールを守れ」ではなく、「みんなの時間をみんなで守る」となるので、若手の進行役が口にしても反感を買いません。
時間の見える化はすごく効く
時間をルールにする際は、「見える化」することも大切です。私は研修の際、ホワイトボードに目的と終わりの時間を書いておきます。
●目的:計画と分担の決定
●終了時間 16時
こうすれば自然と目に入るので、参加者は常に意識することができます。面白いもので、人は目的が意識に入ると、集中して協力しあうようになります。そうなれば自分も、「みんなを動かすプレッシャー」から解放され、会議の進行責任を一人で背負わずにすみます。
チームで時間内に目的を達成する雰囲気になるというわけです。