フランスの家電量販店フナックの事例

 日本オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会(JOMSA)で、フランスの家電量販店フナック(Fnac)の事例研究発表があった。非常に重要な事例であるのでここに概略を紹介し、インプリケーションを議論する。

 フナックのオペレーションの詳細は神戸大学経済経営学研究所のサービス・イノベーション人材育成プログラムのビデオ教材にもなっているので、そちらを参照していただきたい。

 フナックは、家電量販店でありながら会社内に最新のテクニカルラボがあり、電気製品の光学等の機能的な数字を測定している。その詳細な評価と、4つ星、3つ星というようなミシュラン風の総合格付けを主要製品に表示して商品棚に置いている。そのような評価の詳細はカタログにまとめられているし、フナックの仏語のホームページからもアクセスできる。例えば私の場合、前にデジカメを買った時は、フナックのホームページと価格ドットコムのレビュー・クチコミのページを参考にした。

 フナックのラボ評価の数字と星の数に、フランスの消費者はある程度の信頼を置いている。メーカーサイドが提供する数字ではなくて、量販店サイドが独自に判断した数字であるということが大事である。もちろん、フナックが特定のメーカーから何らかの利益供与を受けていると消費者が疑うと、この評価は信頼されない。つまり、フナックは、客観的な製品情報を提供するというサービスで、顧客との信頼関係を醸成し、コミュニティ形成という顧客の囲い込みをし、新しい価値を創造し、他の量販店との差別化をしているのである。

 フナックが客観的で正確な製品情報を提供できているとすると、そのことは、電機メーカーにとっても有り難いことである。消費者はメーカーが提供する情報をあまり信用しないか、その情報は嘘ではないとしても、何か都合の悪い情報を隠していると疑うものである。必要な情報がとれないので、購買決定は価格のみに頼らざるを得なくなる。