「寄木細工」にヒントを得た製品設計

ThinkPadは日本にゆかりの深いブランドだ。1992年発売の初代モデルは、IBMが神奈川県に構えた大和研究所にて、「松花堂弁当」をヒントに開発されたことで知られている。IBMがPC部門をLenovoに譲渡して以降も、大和研究所では先端技術の研究を行っている。

そして、ThinkPad X1 Foldは大和研究所発の最新の成果となった。折りたたみ画面の実現には構想5年の構想期間を費しやされた。フリーストップ構造で180度の位置でピタリととまるヒンジ設計のために、6種類の設計と20種類以上のバリエーションを検討。耐久性に優れた独自の形状が考案された。

ボディはカーボンファイバーを多用し、軽量化と剛性の確保に両立している。専用キーボードは折りたたんだ画面に挟み込んで持ち運べるよう工夫した。ヒンジ部に密着し、使用時にはスタンドにもなるレザーカバーも用意された。

薄型化技術の進展も、このPCの実現に寄与している。たとえば冷却ファンは歴代ThinkPadの中でももっとも薄い部材を採用している。薄い部材を複雑に配置する設計においては、箱根の名産として知られる工芸品「寄木細工」から着想を得た。各部品は数層に及ぶ内部構造に分散して配置され、すべてを組み合わせたときにカッチリとはまる設計となっている。

「寄木細工」から着想を得た内部構造

ThinkPadブランドの品質を確保するため、このモデルでも厳しい製品試験が行われている。ディスプレイに鉄球を落とす試験や、落下を繰り返す試験、温度や電磁波への耐久性検証など、多くの項目が評価されているという。

ThinkPad X1 FoldのWi-Fi版は10月13日発売。直販価格は最小構成で36万3000円から。5Gモデルの発売時期は後日発表としている。

【ThinkPad X1 Foldのスペック詳細】

OS    Windows 10 64bit

CPU    Intel Core i5 Processors with Intel Hybrid Technology(Lakefield)

GPU    CPU内蔵

RAM    8GBオンボード

ディスプレイ    折りたたみ式13.3インチQXGA有機EL(2048×1536ドット、10点マルチタッチ対応)

インターフェイス    USB Type-C(USB 3.1 Gen 1)×2

Wi-Fi    IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax

ワイヤレスWAN    5G(CTOで選択可)

ペン    Lenovo Mod Pen

バッテリー駆動時間    約11.7時間(JEITA2.0)

大きさ(展開時)    約299.4×236×11.5mm

大きさ(折りたたみ時)    約158.2×236×27.8mm

重さ    約973g~(キーボード:約173g)