「『落とし物が発生しない状況』がどんなものか、はっきりとした認知ができているわけではないです。そして、スマホやイヤホンとは違い、紛失防止デバイスには前身と言えるものがありません。そんな状況下で『MAMORIOがあってよかった』と思われる場面をつくれるかどうかは地道にやっていくしかないところです。引き続き、競合ではなくお客さまを見ながら事業を拡大させていきます」(増木氏)

アップルの参入で注目を集める紛失防止デバイスの市場。同市場で事業を展開するプレーヤーはMAMORIO以外にも、累計販売台数3000万台を記録する米国発の紛失防止デバイスメーカー「Tile」もいる。

同社も東急線全線88駅で検知システム「Tileアクセスポイント」を活用した追跡サービスを開始しているほか、コンビニ限定版「Tile Mate Book」を全国5000店舗のローソンで販売するなど、日本展開に力を入れている印象だ。

ようやく時流が変わり始めた紛失防止デバイス。創業から約9年、アップルの参入は本当にMAMORIOにとって追い風となるのか。真価が問われるのは、ここからだろう。

アップルの参入で沸く「紛失防止デバイス」市場、日本発メーカー・MAMORIOの戦略