テレワークの普及によってビジネスでのコミュニケーションに欠かせないツールとなったビジネスチャットツールの「Slack」。もともとはチーム内でのコミュニケーションに特化していたが、昨年には社外とのやり取りも可能にする「Slack コネクト」をリリース。そして6月30日には音声会議機能「Slack ハドルミーティング」などの新機能を発表。テキストでのコミュニケーションに囚われない、Slackの新たな方向性を示した。
Slack ハドルミーティングは、音声チャットツール「Discord」のような新機能だ。ハドルという名称は、アメリカンフットボールの試合中に行われる作戦会議に由来する。リモートワークの下では同僚との雑談が発生しづらい。そのため、何気ない会話から出てくるユニークなアイデアが生まれづらい、従業員が孤独を感じてしまう、といった課題が生じてしまう。そこでこの新機能では、すべてのチャンネルとダイレクトメッセージにおいて、ワンクリックで音声会議を開始できるようにした。画面の共有も可能なほか、発言したくない場合はマイクをミュートすることもできる。
Slackを提供するSlack Technologies(以下、Slack)は、昨年開催した年次イベント「Slack Frontiers」にて、Slack ハドルミーティングの構想を明らかにしていた。Slack・CEOのスチュワート・バターフィールド氏は以前に取材で、この新機能は「雑談が持つ即興性や偶発性を再現した機能」だと説明。また、1時間で設定された会議でもふたを開けてみれば10分程度で終わることもあるため、時間の節約にもつながると述べていた。Slack ハドルミーティングはSlackの有料ユーザー向けに提供開始されている。
Slack ハドルミーティングに加えて発表されたのが、動画や音声を収録して共有できる新機能だ。この新機能はメッセージ入力欄に追加されたカメラボタンをクリックすることで起動する。ちょっとした報告内容やアイデアを事前に収録し共有することで、「非同期」で時間に縛られずに会議を実施することが可能となる。この収録機能は今後数カ月で有料ユーザー向けに提供開始される。