アメリカの大学を中退し18歳で起業

メンテモ代表取締役の若⽉佑樹氏
メンテモ代表取締役の若⽉佑樹氏

「アメリカの大学に行く前から、いずれは日本に帰ってきて自分たちでスタートアップをやりたいなと考えていました」

若月氏が起業を明確に意識するようになったきっかけは、高校卒業後に東京のスタートアップでインターンをしたことだ。

もともと山梨県の高校在学中から物販やイベントの運営など小規模なビジネスに挑戦する中で、その一環としてウェブ開発の受託などにも取り組んでおりITの知識があった。卒業後はアメリカの大学に進む予定だったため、ギャップイヤーの期間を活用して都内のスタートアップで働いたことを機に、起業を考えるようになったという。

結局はアメリカの大学を数日で退学し、帰国後すぐに友人と3人で会社を創業。当初はグルメサービスを作るも上手くいかず、VR関連の受託事業をやりながら食いつないでいた時期もあったが、ベンチャーキャピタルから出資を受けたことで再び自社サービスに挑戦することを決めた。

2018年に生まれたチャットアプリの「NYAGO(ニャゴ)」は、チャットを始める側だけが匿名で送信でき、なおかつ毎朝6時にはチャットの内容が消えるという新しい切り口がウケて、ローンチ1週間でインストール数が1万件を突破。スタートアップ界隈を中心にちょっとした話題を呼んだ。

ただ想定を上回る反響に対して開発が追いつかず、1週間でサービスを停止。その後も大々的にサービスを再開することはないまま、NYAGOは幕を閉じる。

かつて開発していたNYAGO
かつて開発していたNYAGO

試行錯誤を続ける中で見つけた「自動車アフターマーケット」の可能性

NYAGO以降も若月氏らはいくつものC向けサービスを「作っては壊す」という経験を繰り返した。

やがて共同創業者と別々の道を進むことを決めた後も、1人で試行錯誤する日々が続く。その結果として、最終的に行き着いたのが現在開発に取り組むメンテモのアイデアだった。

「まず自分自身が車を買ってみて、ディーラーに持っていくのが面倒だと思ったのが1つの理由です。そしてもう1つの理由が祖父が板金屋を営んでいたこと。(祖父の板金工場は)下請けで『今月は仕事があまりない』『付き合いで車を買わないといけない』といった話を以前から聞いていて、大変だなと感じていました。最初は双方が直接やりとりできるようになれば、それぞれの課題を一気に解決できるかもしれないというありがちな考えからスタートしました」(若月氏)

祖父の工場が山梨にあっただけでなく「そもそも対象となるユーザー自体も地方の方が多いのではと考えた」ことから、若月氏は山梨県に営業所を開設。もう1人のメンバーを誘い、事業者の開拓やヒアリングを進めた。