自身が大の車好きで思い入れが大きいこともあり、次の挑戦に自動車領域を選んだ
自身が大の車好きで思い入れが大きいこともあり、次の挑戦に自動車領域を選んだ

とはいえ、現地に大勢の知り合いがいるわけではない。最初はFacebookなどを使って手当たり次第にコンタクトを取ったが、当然ながらそのほとんどは“スルー”された。ただ、その中で唯一返信をくれた事業者が丁寧に業界の構造や悩みなどをレクチャーしてくれたことで、重要なインサイトを発見できたという。

「その事業者さんが話していたのが『たとえば寿司の場合、回転寿司店やカウンターの寿司屋など店ごとの特徴がお客さん側もある程度わかるが、板金や整備工場の場合はそれがほとんどわからない』ということ。事業者によって特徴やクオリティに大きな差があるのに、その違いが一般のユーザーからはわかりづらい状況になってしまっている点に課題を感じました」(若月氏)

前提として整備工場や板金工場をオンライン上で探せるサービス自体は以前から複数存在しているが、事業者に話を聞くと必ずしもみんなが登録しているわけではない。その理由は他の事業者と横並びで掲載され、価格面などの違いだけで比較されてしまう可能性があるからだ。

そこでメンテモでは個性があり、品質の高い工場だけを集めた審査制のマーケットプレイスというアプローチを採った。

一方でユーザーサイドの声も聞いてみたところ、整備工場や板金工場に対しては技術や料金の面で良いイメージを持っている人が多い反面、「圧倒的に入りづらい」ことが最大のハードルになっていることもわかった。

「板金工場や整備工場は社名の入った看板しかかかっておらず、外から見てもよくわからず、入りづらいところも少なくありません。(ユーザーの視点で)情報の不透明性が高いので、それを解消する必要があると考えました」(若月氏)

マーケットプレイスで双方の課題解決、資金調達でさらなる事業拡大へ

メンテモの画面イメージ。スマホで工場の検索、予約が完結する
メンテモの画面イメージ。スマホで工場の検索、予約が完結する

このようなヒアリングとそれに伴う軌道修正を何度か重ねた後、メンテモでは2021年の3月から山梨県に絞ってベータ版のような形でサービスの提供を始めた。

冒頭で触れた通り仕組み自体はシンプルだが、「完全審査制で間違いのない事業者しか出てこないことを重視しました。また業界では当たり前でなかった電話のやりとりなしで予約できる仕組みを導入しています」と若月氏は説明する。

現時点ではまだ実装できていないものの、今後は各事業者の特徴やこだわりが伝わるようなサービスへとアップデートしていく計画。レビューなども溜まっていけば、ユーザーにとって“自分にあった事業者”をスムーズに探せる場所になりうる。

そうなれば「本当に良い仕事をしている事業者が報われることにもつながる」というのが若月氏の考えだ。