franky代表取締役社長の赤坂優氏
franky代表取締役の赤坂優氏

品質とデザイン性が高く、手頃な価格帯のスーツケースの選択肢がない

スーツケースのブランドといえば、RIMOWA(リモワ)やSamsonite(サムソナイト)、TUMI(トゥミ)、ACE(エース)などが有名だ。2015年の調査によれば、グローバルにおけるスーツケース市場はSamsoniteが17.3%、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトングループ(編集部注:2016年にRIMOWAはLVMHグループ傘下に入っている)、TUMIが1.3%など老舗企業や大手企業が大きなシェアを握っている。

すでに知名度のあるブランドが存在しているが、赤坂氏は「スーツケース市場は二極化されている状況に近い」と語る。

「スーツケースは前述したロフトや東急ハンズなどの小売店、もしくは楽天市場やAmazonなどのECサイトで価格重視で1万円ほどの安いスーツケースを買う場合と、RIMOWAやSamsoniteなどの品質やデザイン性を重視して10万円ほどする高級スーツケースを買う場合で二極化されているとも言えます」

「手頃な価格でありながら、品質が良くデザイン性の高いスーツケースが選択肢として、あまりないんです。中価格帯で品質とデザイン性が高いスーツケースを求める際の選択肢がほとんどないと思ったので、そこにも可能性を感じました」(赤坂氏)

強いて挙げるならば、競合は「(良品計画が展開する)無印良品のスーツケース」だという。無印良品は現在、20リットルから105リットルまで5サイズのポリカーボネート製スーツケースを販売している。価格は1万円台から2万円台後半。コロナ禍前の2017年度は12万台を売り上げを記録した人気商品だ。無印良品のスーツケースが人気を獲得していく中、molnはどういった戦略でブランドを展開していく予定なのか。

「初期はRIMOWAと無印良品の間の中価格帯を狙いつつ、初期のオピニオンリーダーを獲得したあとに、廉価版の製品も出していく予定です。段階的に製品を展開していくことで、3万円前後程度でスーツケースを探している人たちにもアプローチしていければと思っています。価格帯の上下両軸で拡大していくことで、ACEやSomsoniteが持っているシェアと無印良品が持っているシェアも獲得していきます」(赤坂氏)

2020年1月にアイデアを着想してから、約1年半。「コロナ禍もあり、当初想定していたよりも時間がかかってしまった」(赤坂氏)と言うが、その分、プロダクトの完成度を高めることに時間をかけることができたという。最初は委託生産(OEM)も考えていたそうだが、最終的には中国の製造工場と提携し、自社生産している。