スーツケースの色は岩・赤土・炭をモチーフににしたストーン、テラコッタ、チャコールの3色展開。サイズはスモール(約35リットル)とラージ(約85リットル)の2サイズの展開となっており、価格帯はSmallサイズで4万円前後の価格帯を予定している。

「小売」が起点のスーツケース業界に勝機を見出す

コロナ禍で旅行関連業界は深刻なダメージを受けている。それは旅行会社や旅行代理店に限った話ではなく、旅行関連のグッズを取り扱う企業もそうだ。不要不急の外出自粛の要請によって旅行や出張の機会が激減した昨今、スーツケースを使う場面はほとんどない。国内大手のエースも苦戦を強いられている中、なぜスーツケースをつくることにしたのか。

「スーツケースを購入する際、多くの人が想起するのはスーツケースのブランドではなく、スーツケースを販売しているロフトや東急ハンズなどの小売店です。その結果、スーツケースメーカーの販売戦略は“小売”が中心になっており、ブランドとして本当に伝えたいメッセージや売り方などに関する考えを言いづらくなってしまっています」(赤坂氏)

つまり「顧客が何を求めているか」ではなく、「どうしたら小売店が売ってくれるか」という視点で商品が設計される傾向にある、というのが赤坂氏の考えだ。

「それは本質的ではないな、と感じました。SNSなどで顧客に直接コミュニケーションがとれる時代になっているにもかかわらず、いまだに小売中心の設計になっている。オンラインでの販売を起点としてブランドをつくっていけば、旅行関連グッズには大きなチャンスがあると思いました」(赤坂氏)

オンラインでの販売を起点としたスーツケースのD2Cとして有名なのは、米国発のAwayだ。2015年の参入ながら4年ほどで100万個を売り上げるなど成功を収めている。2019年末には社内のパワハラや差別的発言で創業者が退任に追い込まれたが、それでも数少ないD2C領域のユニコーン企業(時価総額10億ドル超の未上場企業)だ。

同社はスーツケースにタグをつけるなどの“パーソナライズ”に加え、「旅にまつわる世界観」をまとめた雑誌『HERE』を発行したことがミレニアル世代の価値観に刺さり、ファンを獲得していった。frankyもAwayと同じように、ブランドが持つ価値観の発信に力を入れていき、中価格帯のスーツケースブランドの第一想起の獲得を狙っていく。

「オンラインとオフラインのマーケティングを組み合わせつつ、ダイレクトマーケティングに捉われず、InstagramやYoutubeなどを通じて、ブランドの持つ価値観をきちんと世界へ発信していきたいと考えています。20〜40代のファッションやライフスタイルにこだわりのある人に向けて、モノを売るというよりも旅が持つ非日常性や体験、カルチャーを提供していくことができればと思っています」(赤坂氏)