──米国など海外でいつ頃からニュースレターが普及し始めたのでしょうか。普及に至った背景も教えてください。​

ニュースレタープラットフォームはSubstackが2017年に登場する以前から存在していました。例えば、2012年にメールマーケティングソフトウェアの「MailChimp」に買収された「TinyLetter」は2010年のローンチです。

GoogleやAppleのCookieに対するポリシーが厳しくなり、多くの企業は別の手段でファーストパーティーデータを獲得しなければならなくなりました。また、アルゴリズムによるリコメンドやプラットフォームへの依存に反発するような動きもあり、ニュースレターは2012年から2015年のあいだに普及していきました。Stripeのような優秀な決済プラットフォームの普及も、ニュースレターが盛り上がった一因だと考えています。

そして昨年2020年は、2012年から2015年のあいだにローンチした多くの新興ニュースレターメディアの成功事例や買収が続々と発表された1年でした。

例えば、「theSkimm」の読者数は700万人を突破しました。「The Hustle」は2月にCRMプラットフォームを提供するHubSpotに、「Morning Brew」は10月にビジネスメディアBusiness Insiderを運営するInsiderに買収されるかたちで、イグジットを果たしました。

また、Substackより2年早く、2015年に創業したニュースレタープラットフォームの「Revue」は1月、Twitterに買収されました。

──日本にもSubstackでニュースレターを配信するライターはいます。Substackの知名度が高い理由は。

前述のとおり、Substackは意外にも2017年にローンチした後発のニュースレタープラットフォームです。当時は数々の新興ニュースレターメディアが登場し、The New York Timesといった大手メディアもニュースレターに力を入れていた時期でした。「自分もニュースレターを開始したい」と考える個人のユーザーも増加傾向にあったので、良いタイミングでのローンチだったのではないでしょうか。

Substackはライターの働き方を変えました。これまでプロのライターは媒体に記事を掲載することで収入を得ていましたが、Substackを使うことで、媒体に寄稿、もしくは所属するよりもはるかに大きな収入を得ているライターもいます。Substackはそのような成功事例を作れたため、注目プラットフォームになり得たのだと考えています。