「Off Topic」の宮武徹郎氏
 

仮想空間の「メタバース」や、ブロックチェーン技術を前提とした次世代インターネットの「Web3」といったテクノロジートレンドが台頭した2021年。

今年、米国のベンチャーキャピタル(VC)業界ではどのような変化が起こったのだろうか。米国のスタートアップやテクノロジーのニュースをニュースレターやポッドキャストで配信する「Off Topic」の宮武徹郎氏が、2022年以降も続く注目トレンドを解説する。同氏はベンチャーキャピタルでの勤務経験があり、現在も個人投資家として活動する。

スタートアップ投資のスピードが加速

2021年は米国におけるスタートアップ投資のスピードが劇的に加速した1年だった。ファンドの満期は通常10年だが、5年ほど前からは4年くらいで資金を使い切るケースも出てきた。それが去年からは2年、今年には1年から1年半で使い果たすことも珍しくなくなった。

中でも勢いづいているのが、ヘッジファンドのTiger Global Management(以下、Tiger)だ。同社は4月に67億ドル(約7600億円)のファンドの設立を発表したばかりだが、驚くべきことに、約半年間ですべての資金を使い切った。そして10月には88億ドル(約9990億円)の新ファンドの設立を明かしている。

レイターステージにおいては近年、TigerやCoatue Managementといったヘッジファンドの存在感が増してきている。そのため、これまでシリーズC〜Dラウンドを中心としてきたVCが、よりアーリーステージのラウンドでも投資を実行するようになった。例えば、Andreessen Horowitz(以下、a16z)やSequoia Capital(以下、Sequoia)はここ数年で、投資範囲をシードラウンドにまで広げている。