──さらに、「海外で最も再生された日本のアーティスト」で1位を獲得しています。YOASOBIは今年英語版で楽曲をリリースしましたが、そちらではなく日本語詞の「夜に駆ける」が「海外で最も再生された日本のアーティストの楽曲」3位にランクインしていることも興味深い現象です。YOASOBIが海外から聴かれている要因を、芦澤さんはどのように見ていますか。

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YOASOBIが1位になっていることは画期的な現象だなと私も思います。「海外で最も再生された日本のアーティスト」や「海外で最も再生された日本のアーティストの楽曲」は基本的にはアニメに寄っているランキングです。ここ数年、ずっとそうでした。

楽曲単位で見ると、今年アニメタイアップではなかった曲は「夜に駆ける」と、あと「Tokyo Drift」(映画『The Fast And The Furious: Tokyo Drift』主題歌)だけです。

YOASOBIの場合はアニメ『BEASTARS』の主題歌である「怪物」がこのランキングに入るのはわかりますが、それよりも「夜に駆ける」の方が断然上に入っていることがすごく画期的です。なぜなのかは推測になってしまいますが、YOASOBIは「夜に駆ける」もミュージックビデオはアニメーションで作られているなど、割とYOASOBIという存在そのものがちょっとアニメ的な、日本のポップカルチャーを体現するものとして海外から捉えられているのではないかと思います。

具体的なアニメ作品の人気に曲がひもづいてなくても、YOASOBIの世界観自体が、日本が発信するクールなポップカルチャーだと捉えられているのかな、と解釈しています。

そのため、いまYOASOBIは海外認知が高くなっていて、まだデビューして2年なのに全世界のトータル再生数が10億回を突破しました。これは過去になかったスピード感ですし、すごいことだと思っています。日本での再生だけではそのペースで達成できない数字なので、海外比率が高いことが証明されていると思います。YOASOBIは今後もっと海外での認知が上がっていく可能性があると思って、楽しみにしているところです。

ストリーミング時代に重要な「リリース頻度」と「曲の種類」

──「国内で最も再生されたアーティスト」ランキングには、YOASOBIの他にBTS、Official髭男dismが昨年に引き続き上位に入っていますが、そこに平井大さんが新たに4位にランクインしています。平井大さんの曲がたくさん聴かれた要因をどう分析しますか。