・北朝鮮の核放棄は不可能だとする意見が92.5%に達し、07年に調査開始後、最も高くなった。
・北朝鮮が武力挑発を行う可能性があるとする見方は60.9%であり、昨年の56.3%から上昇している。
・南北統一が必要と答えた人は46.0%であり、調査開始以来2番目の低さとなっている。さらに統一は不可能と答えた人は31.6%と過去最高である。特に20代30代のいわゆる「MZ世代」では、統一は必要だとする人は31%にとどまっている。南北統一を不要とする人が挙げた理由の34.1%は経済的負担である。さらに、政治体制の違い21.5%、統一後に生じる社会的問題20.3%となっており、若年層を中心に必要性に対する否定的認識が高まっている。
・政府の対北政策に満足する人は45.5%であり、文在寅政権では18年の64.4%から、19年55.6%、20年36.3%、21年34.4%と下落が続いてきたが、尹錫悦政権になってから反転している。韓国国民の多くが文在寅政権の対北朝鮮政策に不満を抱いていたということである。
・韓国の核武装に賛成する人は55.5%であり、昨年から10%急増している。
・韓国国民が最も親近感を感じる国は、北朝鮮との安保に協力する同盟国である米国で、80.6%である。
・最も脅威を感じる国は、中国が44.0%、北朝鮮36.9%、ロシア8.5%、日本7.3%となっており、韓国の若者は比較的、対北朝鮮認識が健全なのがわかる。

 この世論調査結果について、同研究院の金範洙(キム・ボムス)教授は、ここ数年の調査では一貫して、若年層を中心とする統一の必要性に対する否定的認識が表れており、それが統一に関する無関心と現在の分断体制の維持を望む認識につながっている、という。

 若者にとっては、すでに韓国社会の中で過酷な生存競争を闘っており、経済が崩壊した北朝鮮の住民の生活の面倒まで見るのはごめんだとの意識である。

「北朝鮮との統一が必要か」との問いに対する回答が否定的だったのは、従北主義を貫いた文在寅政権の頃からであり、その当時でも国民の求める北朝鮮政策の目標は「平和的共存と平和政策」であった。

 韓国では、北朝鮮の核は韓国に向けたものではないと主張する左派に同調し、北朝鮮に対する警戒心が希薄であったが、北朝鮮の現実に直面し、北朝鮮に向けた視線が若者から変わってきていると実感する。もはや北朝鮮を同胞と見るよりも敵と見るほうが支配的になっているのではないか。

尹錫悦政権に対する支持は
外交国防が高く経済は低い

 発足から1年たった5月の尹錫悦政権の評価は否定的なものが優勢であり、その結果は下記のように低い支持率であった。だが、野党の支持率も同様であり、来年の総選挙の帰趨は極めて流動的である。ただ言えることは、外交・国防に対する評価が比較的高く、経済は低いということである。

 中央日報が依頼した韓国ギャラップによる世論調査では、職務遂行について肯定評価は38.5%、否定評価は57.6%であった。