国防部は、北朝鮮が9.19合意を破り挑発するならば、韓国軍も効力停止の閣議を踏まずすぐ対応するという姿勢である。北朝鮮がGP復元の場合、江原道高城の最東端のGPを優先復元する案を検討している。

文在寅政権が隠し続けた
北朝鮮の軍事合意違反

 北朝鮮は、19年2月ハノイの米朝首脳会談が決裂した後、軍事合意は事実上無効化していた。交渉で韓国と米国から利益を受ける道がふさがると、韓国に対する脅迫を激化させてきた。具体的には次の通りだ。

・19年11月、西海・昌麟(チャンリン)島海岸の砲台が軍事合意の「西海緩衝地域」に向けて砲弾を放った。
・南北共同連絡事務所を爆破した。
・西海で韓国公務員を殺害した。
・北方限界線(NLL)南側に向けミサイルを発射した。
・無人機を韓国に侵入させた。

 軍事合意は、北朝鮮の善意に依拠したものであったが、北朝鮮には通じなかった。しかし、文在寅政権は、こうした北朝鮮の行為をできる限り際立たせないようにし、軍事合意を守り通してきた。このため韓国国民の間でも北朝鮮の軍事合意違反の認知度は低く、それらが与える脅威についても適確に認識されていなかった。

 文在寅政権は北朝鮮に対し寛容な姿勢を続けたにもかかわらず、北朝鮮はむしろそれをいいことに攻撃的な姿勢を取り続けたのである。

北朝鮮の強硬対応を
韓国国民は受け入れない

 北朝鮮の強硬な姿勢で朝鮮半島の軍事的な情勢が不安定になる中、一部からは「緩衝地帯が消えて一触即発の状況を迎える」という懸念の声が聞かれる。これは北朝鮮が望むところである。

 一方、韓国国民も、北朝鮮の核・ミサイル開発や挑発活動に毅然(きぜん)とした対応を取ることを受け入れるようになってきている。

 ソウル大学統一平和研究院が韓国ギャラップに依頼し昨年7月1~25日の間に行った世論調査の結果を見ても、北朝鮮に対する意識の変化が感じられる。

 主な項目を列挙すると次の通りだ。