北朝鮮の偵察能力強化に対抗し
韓国は9.19合意の効力一部停止を閣議決定
北朝鮮は11月21日夜、金正恩(キム・ジョンウン)総書記立ち会いの下、軍事偵察衛星を打ち上げ、正確に軌道に進入させることに成功したと発表した。さらに、今後、早期に数個の偵察衛星を追加で打ち上げる計画があると強調している。
北朝鮮の偵察衛星は、弾道ミサイルの技術を活用したものであり、明確な安保理決議違反である。安保理では、中国・ロシアが北朝鮮の後ろ盾となっており、北朝鮮に対し追加的な制裁を科すことはできない。
だが、北朝鮮が米韓の軍事力に対する偵察能力を強化させたことに対抗し、韓国政府は11月22日、2018年9月19日に南北首脳会談で合意した飛行禁止区域設定(以下“9.19合意”)の効力停止(すべての効力を停止したものではない)を閣議決定した。前方地域に偵察資産を飛ばして北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げに対抗するという論理である。
これに対し北朝鮮は11月23日、軍事合意の「完全」無効化を発表した。中央日報は、「『9.19合意』破棄した北朝鮮、狙いは『来年の韓国総選挙介入』」と題する記事を掲載している。北朝鮮は合意破棄によって朝鮮半島の緊張を高めることで、来年の韓国の総選挙において、北朝鮮に対決姿勢で臨む尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の政策が韓国の安全の妨げになるとして、韓国国民が尹錫悦政権に鉄ついを加えることを期待した行動だとの解説である。