「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

言葉をなかなか覚えられない人の特徴Photo: Adobe Stock

言葉に出会い、覚える

新しい言葉に出会い、意味を調べて、覚える。
これが語彙力を伸ばすプロセスだと本連載でお伝えしてきました。ですが、実は最後の「覚える」こそが最大の壁であり、本当に語彙力が向上するかどうかのカギを握っています。大切なのは、調べたその瞬間に「よし覚えたOK」で終わりにしないこと。どういうことか説明しましょう。

「覚えたつもり」は覚えていない

その瞬間はしっかり覚えたとしても、時間がたてば次第に忘れていきます。これは脳の自然な仕組みです。仕事をしていると、多種多様な情報が次々と頭の中になだれこんできます。脳はそれらの情報を取捨選択しながら、よく使う情報は「想起できる状態で記憶」し、使っていない情報は想起できなくしてしまいます。

これは逆に言うと、「よく使う情報は忘れない」ということ。その情報を頻繁に使いさえすれば、脳はそれを「大事な情報」と認識して、いつでも想起できる形で脳に定着させてくれるのです。

新しい言葉をインプットしたら30分以内に使う

それでは「使う」とは、どういうことでしょうか。

それは、脳内で待機させず、引っ張り出してくる。話したり、書いたり、人に教えてみたりする。つまり、アウトプットするということ。頻繁にアウトプットした事柄は、長期記憶に保存され、あなたの血肉(=いつでも使える言葉)となります。

そして、新しい言葉をインプットしたら間髪を入れずに、アウトプットすることをおすすめします。目安は30分以内です。

さらに、2週間に3回以上アウトプットするとよいでしょう。インプットから2週間で何度も使われた情報は、「重要な情報」だと脳が認識し、「側頭葉」の長期記憶に保存されます。

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。