平均年収1100万円、最高5000万円
「超高待遇」社員たちをどうするか?

 そして伊藤忠にとって4番目の問題が、人と風土の問題です。ビッグモーター事件のニュースで多くの人を驚かせたことが、社員の平均年収が1100万円、最高年収が5000万円と、今の日本経済の中では異常ともいえる高水準だったことです。

 社員がまじめに頑張って業界首位の業績を上げた結果の高報酬であれば何の問題もないのですが、事実としては不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります。

 それが幹部社員なのか、一般の社員なのかわかりませんが、新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。

 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません。

 このように3番目のレピュテーションリスクと4番目の人や風土の問題は表裏の問題で、ここを解決できる自信がなければ伊藤忠は買収に進むべきではないという判断を下すことになるでしょう。