「事業継続」を成功させる
スキームを再建する必要も

 あくまで頭の体操として、こんなスキームを考えてみましょう。伊藤忠がビッグモーターを買い取り、そのまま営業権だけを伊藤忠エネクスに売却したらどうなるでしょう。

 これはジャニーズ問題のときと同じで、ビッグモーターは訴訟や賠償を担当する会社として存続させ、営業権を譲渡された伊藤忠エネクスが中古車販売事業を担当する会社になるというスキームです。

 店舗の看板はすべて「伊藤忠」に書き換えて営業を再開したら、中古車市場のシェアナンバーワンとしてのビジネスをその日から開始できるのではないかという考え方がベースになるのですが、もしそこに落とし穴があったとしたら…?

 ビッグモーターは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。

 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません。