転職サイト登録後すぐに
「大量のスカウト」が届く理由
最近は転職サイトに登録すると、あっという間に大量のスカウトメールが届きます。一晩で50件、60件と届く人もいるでしょう。
中には企業の経営者や経営幹部が差出人となり、登録者に「魅力的な経歴に惹かれ、ぜひご応募いただきたく…」と呼びかけるメールが混ざっていることもあります。
しかし、そうしたメールが届いたからといって「私は転職市場で高評価されている」と浮かれてしまうのは早計です。スカウトメールが大量に押し寄せる人や、「経営者直々のスカウト」が届いた人が、必ずしも市場価値が高いとは限りません。
背景を知って上手に対処しないと、転職活動にかかる余計な手間と時間を増やしたり、自身と合う会社に転職するチャンスを見落としたりする結果になりかねません。
そもそもなぜ、転職サイトに登録した途端、多くのスカウトメールが舞い込むのでしょうか。その理由は、転職サイトを利用している企業の人事や人材紹介会社が「新着人材の情報」を必死にチェックしており、新規登録者が現れると一斉に群がるからです。
企業側の視点で見ると、良い人材を採用するには、応募者の母数を増やす必要があります。母集団が少なければ、自社に合う優秀な人材が含まれている比率も下がります。だからこそ、新規登録者に対して「ぜひ応募を」と真っ先にアプローチするのです。
新規登録者に食いつくタイミングが遅れた企業も、新しい求人が発生したタイミングなどで転職サイトのデータベースを検索し、条件が合致している人にスカウトメールを送ります。会員登録から時間がたっている人は他社の選考を受けている可能性が高いので、やはり登録から間もない人が優先されます。
利用開始日から一気にスカウトメールが押し寄せ、この流れが1週間ほど続くのはこのためです。メールが殺到する背景について、お分かりいただけたでしょうか。
ただ、ビジネスパーソンの皆さんにとって、中途採用の世界はまだまだ謎が多いはずです。
「経営者直々のスカウト」は、本当に経営層が文面を考えているのでしょうか。「スカウトメールが来たから応募したのに、書類選考でアウト」という、矛盾した現象が起こる理由とは――。
これらについても、プロの目線で裏事情をお話ししていきます。