多くの人が『人との対話』に苦手意識を抱いている。できればすべてメールですませたいという人すら。残念ながら「人と話すこと」をゼロにはできない。仕事となればなおさら。いったいどうやって克服すればよいのだろう。
答えは実はシンプル、あなたの発するひと言を変えるだけだ。周囲を緊張させたり、気持ちを萎えさせたりするNGな言葉から、その場の空気をあたたかくするひと言、自然な会話を生む言葉へと切り替えてみよう。
そこでいま話題を呼んでいるのが、3万人に「人と話すとき」の対話術を指導してきた人気ファシリテーション塾塾長の中島崇学氏の著書『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』だ。
今回は、同書から特別に抜粋。適切なルールや制約を使って話しやすい空気を作る方法を紹介する。

発言しやすい空気Photo: Adobe Stock

適切なルールや制約で話しやすくなる

「ルールを設けたほうが心理的安全性が高まる」というのは、「フレーミング」という手法です。ルールや制約を適切に設けると、人間はむしろ自由に動きやすくなる、という効果を利用しています。

×「どんな内容でもかまいません。みなさん自由に発言してください」

 誰も話さないと、ついこう言ってしまいそうですが、みんな下を向く空気になって、逆効果になることが多いものです。

 たとえば、議論をするとき、あえて「1テーマにつき10分」などと時間の制約を設けると、意見が出やすくなることがあります。

 これは、「大人が記憶を保持しながら話を聴くことができるのはせいぜい20分」(*)として知られていることを、逆手に取ったフレーミングと言えます。

「これから10分間は特別ルールです。アイデアの数を競いましょう。数だけです。質は関係ありません」

意見を言いたくなる

どんな意見も否定しないのが大事

 また、意見が出ないときは「言いたいことを紙に書いてもらう」というやり方もあります。時間を区切る場合も、紙に書く場合も、「質より量」というルールを明確にしましょう。

 どんな意見も否定せず、徹底的にほめ合う。機械的にでもいいので、「面白い意見ですね!」と言い合うようにしましょう。

 こうして「フレーミング」で空気をあたためると、ルールに守られて多様な意見が出てきます。

「こんなバカなこと言ってもいいのかな?」という気軽な発言から、常識にとらわれない、すごいアイデアが生まれるかもしれません。

*『講師・インストラクターハンドブック』(中村文子、ボブ・パイク著、日本能率協会マネジメントセンター)
*この記事は、『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言――打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ』(ダイヤモンド社刊)を再編集したものです。