米国で増えるヘイトクライム ガザ紛争の中Photo:Scott Olson/gettyimages

 ニューヨークのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)駐車場で起きた発砲。シカゴ郊外でのパレスチナと米国の二重国籍を持つ6歳の少年の刺殺。宗教・文化的に特徴のある服装をした人々への暴行。

 ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなどの主要都市の警察では、10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃とそれに続くガザ地区でのイスラエル軍事作戦の後、ヘイトクライム(憎悪犯罪)を含む憎悪に満ちた出来事の報告が増えている。データを分析した各市によると、ユダヤ人が被害を受ける側である場合が多い。イスラム教徒への攻撃の報告も増えており、これには最近報告された最も暴力的な事例の幾つかが含まれる。

 主要都市の暫定データによると、これらの数字を32年間にわたって追跡した結果、今年米国で起きた反ユダヤ主義的な事件の報告件数は、1993年の1140件というこれまでの最多記録を上回る公算が大きい。カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校「憎悪・過激主義研究センター」の創設者であるブライアン・レビン氏が明らかにした。また同氏によると、イスラム教徒に対するヘイトクライムの件数も、310件を記録した2016年以降で最多になりそうだという。2016年の件数は、2001年に次ぐ過去2番目の多さだった。