オフライン自然体験×運動の効果まとめ

 たったこれだけの時間を、自然の中でデジタルデトックスするだけで心身は劇的に健康になる。

 さらに歩くなどして体を動かせるならば、これまで述べてきた以下全てのギフトを得られるのである。

・脳のデフォルトネットワークが優位になる
・心拍数が安定する
・脳波がアルファ波になる
・ビタミンDの体内生成量が増加する
・免疫力が高まる
・睡眠の質が改善する
・感情をコントロールしやすくなる
・幸福感が向上する
・ストレス値が低下する
・気分が前向きになる
・認知機能と思考力が改善する
・創造性が向上する
・ナチュラルキラー細胞が増大する

 なお、「2泊3日のトレッキング」の提案だけハードルが高いかもしれないが、拙著『バックパッキング登山大全』では、誰でも2泊3日の山旅ができるようナビゲートしているので、よかったら手に取ってみていただきたい。

 さらに喜ぶべきことに、日常生活に戻った後の「ネット接続時間が減った」という研究報告があることもお伝えしておこう。

 総合的な見解として──「自然の中で過ごす時間が長ければ長いほど、ウェルビーイングが改善する」(※1)というから、自然の力に頼らずに生きるなんてもはや考えられないだろう。

スマホではなく自然に依存しよう

 ご存じだろうか。日本人が太古から「森林浴セラピー」を実践していたことを。「SHINRINYOKU(森林浴)」という言葉が、欧米でも使われるようになったのは、このジャンルの研究を日本がリードしてきたからである。

 さあ今日から、我らが先人に倣い、日々の生活のなかに「自然とのつながり」を取り戻すべく意識改革してみよう。

 自然豊かなキャンプ場や広い公園を探すのも大事だが──どこかに行かずとも、いつでもどこでもつながれる「3つの大自然」が、常に身近にあると気付かれただろうか。

 高層ビル街だとしても見上げれば「大空」があり、分厚いアスファルトの下にも「大地」がある。そして、毎日体に入れている「食べもの」も大自然からの恵みだ

 つまり、呼吸し、歩き、食べることに感謝し、意識するだけで誰もが大自然とつながれるということ。

 小さいからといって、スマホをあなどってはいけない。

 その中には世界最高峰の頭脳によって計算し尽くされた、恐ろしいほどの仕掛けが施されているからだ。

「自然の中で過ごすオフライン時間」こそが心身を健康にし、人生を豊かにする。この「非生産的で非効率な時間」をどれだけ多く持つかで、あなたの生き方が決まる。

 でも難しい話じゃない。これこそが人間本来の生き方だ。

「休みの日は何をしていますか?」への問いに対し、「自然の中へ出かけています」と即答できるようになった時、あなたの人生は絶対に大丈夫。そう断言できる。

(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)

【参考文献】
※1 フローレンス・ウィリアムズ『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方』NHK出版(2017)
※2 Ruth Ann Atchley, David L.Strayer, Paul Atchley「Creativity in the Wild: Improving Creative Reasoning through Immersion in Natural Settings」PLOS ONE(2012)