組織・チームを率いるリーダーにとって、「年上部下」は少し扱いづらい存在かもしれません。特に、直前まで管理職などについていた「役職定年者」が部下になったら、どのようにマネジメントすればいいか困る人は多いでしょう。
そこで今回は、大ベストセラーシリーズ『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』の累計100万部突破を記念し、著者・安藤広大氏(株式会社識学 代表取締役社長)にご登壇いただいた特別イベント『とにかく仕組み化』サミット(ダイヤモンド社「The Salon」主催)で寄せられた「部下のマネジメント」にまつわる質問への、安藤氏の回答を公開します。(構成/根本隼)

役職定年で「平社員」になった人との“賢い付き合い方”ベスト1Photo:Adobe Stock

「ルールを守る存在」だと理解してもらおう

読者からの質問① いままで管理職だった人が役職定年を迎え、自分の部下になりました。このような「年上部下」をうまくマネジメントするには、どんなことに気を配ればよいでしょうか?

安藤広大(以下、安藤) これは大変なケースですよね。大事なのは、相手に「部下」としての認識をきちんと持ってもらうことです。得てして、直前まで管理職だった人は、役職定年となった後も、「自分には権限がある」と勘違いしがちだからです。

 なので、必ず役職で呼んでもらう、もしくは敬語を使ってもらうなど、上司・部下という上下関係にふさわしい「言葉づかいのルール」を決めるのがベストです。

 さらに、「予定表を事前に入力する」「日報を期限内に提出する」など、白黒がはっきりした「仕事上のルール」も3つほど決めて、それを必ず守ってもらいましょう。

 これらのルールの徹底を通じて、相手があなたより年上だったり、元管理職だったりしても、いまの立場ではあくまで「ルールを守る存在」だということを正しく理解してもらうことがポイントです。

 そうすると、「上司」と「部下」という明確な線引きができるので、仕事の指示や報告などがスムーズに回るようになるはずですよ。

「ただの感想」を聞く必要はない

読者からの質問② 部下から報告を受ける際、上司に伝えるべき「事実」だけでなく、「意見」を言ってくるケースが多いです。どうしても意見をしたがる部下に対して、事実だけを言ってもらうようにするには、どうすればいいでしょうか?

安藤 何を言っても責任を問われない「安全な立場」から物申すのは、気持ちがいいので、つい部下も意見してしまうんだと思います。しかし、責任にもとづかない意見は、「ただの感想」です。聞く必要はありません

 意見を言ってもいいのは、部下が一定の「責任」を負っている場合だけです。責任を果たすためであれば、意見を言うことも「権限」の1つとして認められるべきだからです。

 何よりもまず、部下に「事実だけを言いなさい」と直接伝えましょう。そのうえで、もし部下が意見を言ってきたら、「何の責任にもとづいた意見なのか」と尋ねてみればいいと思います。

 無責任な発言への対応に時間を割くのはもったいないので、「責任にもとづく発言しかしない状態」を組織内でつくれるようにルールを工夫してみてください。

(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『とにかく仕組み化』サミットで寄せられた質問への、著者・安藤広大氏の回答です)