仕事ができる人に限って、やるべき仕事や責任が格段に増える。若手メンバーの模範として働きつつ、若手の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」「やるべきことが多すぎないか…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるプレーヤーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。これまでのシリーズ『リーダーの仮面』『数値化の鬼』でも「やるべきことが10分の1に減った」「まわりと圧倒的な差をつけられた」「何度読み返しても言葉が深く刺さる」など、多くの賛同の声を集めた。そんな大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「ぜんぜん仕事ができない人」に共通する“たった1つの特徴”をご紹介する。(構成/種岡 健)
「属人化」ほど怖いものはない
仕事ができる人の根底には、「仕組み化」の考え方が浸透しています。
では、仕事ができない人はどうでしょうか。
「仕組み化」の反対は、「属人化」です。
属人化とは、その人にしかできない業務が存在してしまっている状態です。
たとえば、仕事ができる人は、「できない人」の気持ちがわかりません。
何を隠そう、昔の私はそのタイプでした。
以前の私は、「部下側の能力」に問題があり、「会社側の仕組み」に原因はないと思い込んでいました。
しかし、チームのメンバーが成長しなかったのは、「組織を運営している管理職や経営者に100%責任がある」という事実に気づいてしまったのです。
もちろん、それまでの私は、部下の成長を止めようと思って日々を過ごしたわけではありません。
自分なりに必死で、部下にも成長してほしいと思い、「よかれ」と信じていた行動が間違っていたのです。
世の中の経営者や管理職は、きっと当時の私と同じような勘違いをしていると思い、私は2013年に独立をし、いまの会社をつくりました。
属人化の「リスク」を知る
仕組み化がなく、人に依存する組織があります。
「ウチの会社は、優秀な人が集まっている」
その瞬間は、別にいいかもしれません。
しかし、その中で特に優秀な人が辞めたらどうなるでしょうか。
1人が辞めることでガクッと売上が落ち込んでしまうでしょう。
「優秀な人」がいることが、「優秀な組織」であることとイコールではありません。
むしろ、逆です。
「優秀な人が不在でも、チームとして機能することで勝てる組織」
それが、優秀な組織です。
普通の人の集まりでも、「当たり前のこと」をやれば勝てます。
もしいま、1人の社員にオペレーションが依存している状態にあるのであれば、その状況は変えないといけません。
その人が退職するとオペレーションが回らなくなってしまう、という状況はマズいのです。
ある業務が、1人部署でおこなわれていて、その人が休んだりすると、誰も業務がわからなくて、休みが明けるのを待つ……。
そんなことがないでしょうか。
属人化はリスクです。
一時的にうまくいっていても、やがて停滞します。
「仕組み化」が機能した会社とは?
たとえば、会社の営業成績で考えましょう。
初年度に、営業の全員の順位が出ます。
その後、2~3年後も、同じ順位のままだったとしたら、その組織はマズい。
最初は下位グループだったのに、努力によってトップにまで上り詰めたり、逆に、最初は優秀でもサボると追い抜かれたりしていく。
本来であれば、それが組織として、きちんと機能している証拠です。
しかし、それが起こらないとなると、組織が属人化に陥っている状態です。
組織側の「仕組み」の問題と考えざるをえません。
「仕事ができる人かどうか」を試す質問
では、最後に「質問」です。
質問:あなたの仕事を誰かが「引き継ぎ」できる状態でしょうか?
いかがでしょう。
あなたが休みになったとき、仕事が滞らないでしょうか。
「休みの日でもメール対応できるから」という状況は、属人化を生みます。
いざというときに、他の人が引き継げるように、「マニュアル」をつくっておくことです。
「何をすればいいのか」を言葉にしておくのです。
それができるということは、「人に教えることができる」ということですし、部下を育てたり、チームをつくったり、仕組みが整えられるということ。
その一歩目として、自分の仕事を「引き継げるようにしておく」ということは、とても重要です。
同じように、部下の仕事も、引き継げるようにしておくことです。
誰が退職してもいいようにしておくのは、リスクを回避する上で大事なことです。
つい、後回しにしてしまいがちですが、最初に取り組みましょう。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)