人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。これまでのシリーズ『リーダーの仮面』『数値化の鬼』でも「自分のやるべきことが見つかった」「日々の仕事に役立ちすぎる」「何度読んでも言葉が深く刺さる」など、多くの賛同の声を集めた。そんな大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「あなたが優秀な管理職になれるかどうか」を試す“たった1つの質問”をご紹介する。(構成/種岡 健)
「心の中」で思ってしまうこと
仕事で目標に未達だったときに、上司から「頑張れ」と言われたところで、何も解決しません。
それは誰もが知っていることです。
しかし、自分が上司の立場になった瞬間、
「もっと頑張れよ」
と言ってしまったり、心の中で思ってしまったりするのが人間の常です。
人は弱い。
だからこそ、それを前提に、仕組みをつくっておく必要があります。
「個人」を責めるな、
「仕組み」を責めよう
「なるべく早くメールを返信してほしい」
という要望があるとします。
私のように経営者であると、特に意思決定のためのスピードが求められます。
そのため、部下への確認でメールを送った際、できるだけ早い返信がほしいのです。
とはいえ、「なるべく早く」では、1人1人によって認識の違いが生まれます。
「なるべく早くだから10分以内だ」という人もいます。
「その日中に返せば、なるべく早いほうでしょう」という人もいます。
人によって受け取り方は異なってしまいます。
そのため、仕組みで解決して、もっと解像度を高く、ルールを設定すべきです。
たとえば、
「私からメールが届いたら、3時間以内に返信してください」
というように私は設定しました。なぜなら、3時間以内であれば、どんな状況でも1回はメールチェックができるからです。
長い会議に入ったり、研修講義を受けていたりしていても、3時間以上、休憩がないシーンは考えられません。
そこまで考えて、「3時間以内の返信」というルールを設定する。
これが、仕組みで問題を解決する発想です。
他者からの明確な指示があって初めて仕組みは機能します。
自分だけの努力ではなく、他者の評価が絡むことで、動かざるをえなくなります。
「優秀な管理職になれるか?」を試す質問
では、最後に「質問」です。
質問:あなたは「頑張れ」を多用していないでしょうか?
いかがでしょう。
部下や同僚などで、仕事ができていない人に向かって、「もっと頑張れよ」と言ってしまったり、心の中で思ってしまったりしていないでしょうか。
つねにルールを疑いましょう。
どんな仕事でも、他者の監視の目を入れて初めてルールは機能します。
「この仕事が好きだったら、ちゃんとできないとおかしい」などと言っても、主体性がある一部の人しか動きません。
ルールがあり、他者からの評価というメリットがあるから、人は動くのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)