評価額10億ドル以上の未上場企業を指す“ユニコーン企業”。日本ではプリファードネットワークスやかつてのメルカリ、Sansanなどの名前が挙がる。そんなユニコーン企業の仲間入りを新たに果たしたのが、ニュースアプリを開発するスマートニュースだ。同社は総額31億円の資金を調達し、米国事業にアクセルを踏む(ダイヤモンド編集部副編集長 岩本有平)
ニュースアプリ「SmartNews」を提供するスマートニュースは8月5日、日本郵政キャピタルをリード投資家とした総額31億円の資金調達を実施したことを明らかにした。スマートニュース代表取締役会長兼社長の鈴木健氏が明かしたところによると、今回の資金調達におけるスマートニュースのバリュエーション(評価額)は1200億円。同社は評価額10億ドル以上の未上場企業を指す“ユニコーン企業”の仲間入りを果たしたことになる。
メディアへの送客で米ヤフー超え
スマートニュースは2012年の設立。鈴木氏と、現在取締役COO兼チーフエンジニアを務める浜本階生氏が共同創業したスタートアップだ。2012年に公開した日本版のアプリ(iOSおよびAndroid)に加えて、2014年からは米国版(iOSおよびAndroid)のアプリを提供している。2019年2月時点のダウンロード数は日米合計4000万件(それ以降の数字は発表していない)、今回公開された月間アクティブユーザーは、国内外で2000万人に上る。
同社によると、現在は米国事業の成長が著しく、ユーザー数は前年比で5倍以上になっているという。米国の解析サービス「Parse.ly」の発表によると、英語圏におけるメディアへの送客元として、米ヤフーを抜いて第10位にランクインしている(2018年12月発表)。
フィルターバブルを解決する「信頼性」に評価
米国での急伸の背景にあるのは、ニュースの「信頼性」だと鈴木氏は語る。2016年の大統領選を境にして、特に米国では「フィルターバブル」の問題が取りざたされるようになった。フィルターバブルとは、検索エンジンやSNSのアルゴリズムによって、本来フィルター(ふるい)がかけられて届いている情報が、あたかもすべての情報であると受け止めてしまう。そんな事象が無数のバブル(泡)のように存在している状況を指す。たとえば支持政党ごとにSNSを通じて届く情報が異なり、社会の分断が進む結果となった。