マーケットが伸びる前に勝負に出る

 ニュースアプリとしてのグノシーは、上場した年に初めて利益が出ているんです。それがなぜここまで成長したのかを考えると、「マーケットが伸びたから」のひと言に尽きると思っています。もちろん、ものすごい努力をしてきた自負はあります。ですが同じように努力しても、マーケットがずれていたために幸運を受けられなかった企業はたくさんあると思っています。それは、紙一重の差だったんだと思います。

 当時、「スマートフォンで、アルゴリズムを使ってニュースを効率化していく」というところで勝負したのが、世の中に刺さったんだと思います。その時点だと、多くの企業にとっては「やってくる(マーケットができる)」かどうか分からなかった。まだマーケットが伸びるか怪しい時に勝負に出たからこそ成長できたんだと思っています。

 2015年に上場して、2017年に東証一部上場まで会社を経営してきました。そして今、ブロックチェーンという次の大きな流れを感じています。インターネットが始まって以来の大きな革命に挑戦しようと思い、もともとGunosy傘下だったLayerXをMBOしました。

 LayerXの事業は、ブロックチェーンを使ってプロダクトを作りたい企業に対して、そのお手伝いをするというものです。企業に対して開発のコンサルティングをしたり、ビジネスモデルの構築をしたりとお手伝いしています。僕らは企業に向けてソフトウェアライセンスを作り、それを使っていただく、もしくは提携や共同事業なども進めていきます。AIの領域で言えば、PKSHA Technology(パークシャーテクノロジー)、PFN(Preferred Networks:プリファードネットワークス)、HEROZといった開発会社がありますが、そのブロックチェーン領域版です。

 インターネットの大きな波がやってきた中で“正しいポジション”を取った企業は大きくなっているんです。ヤフーや楽天、サイバーエージェント、グローバルならGoogleやAmazonですね。そのあとにはモバイルインターネットの波もありました。彼らは大きなリスクを取り、それをコントロールしてきました。同じように、大きな入り口に立たないと成功は難しいと思っているんです。パラダイムシフトが起きる時、リスクを取って“ファーストペンギン“――つまり新領域に一番乗りで挑戦するスタートアップになりたいと思っています。僕らはブロックチェーンについて、時代がやってくると確信しています。ですがまだ確定しているわけではなく、周囲は半信半疑です。そんなところに張りたいと思っています。