33万円支払い「悩み相談」する今ドキの自己投資

 そんな相談サービスの中でも注目したいのが、2019年9月から開始したキャリア相談サービス「ゲキサポ!転職」だ。ユーザーの特性に合わせて、コーチングやカウンセリング経験を積んだアドバイザーが付き、マンツーマンで自身のキャリアを見つめ直すことができるという内容だ。驚くべきはその受講料である。対面8回とチャットでのサポートで、「2カ月33万円」(2020年2月24日時点)なのだ。

 33万円を支払ってでも、キャリアのカウンセリングを受けたいという若者は後を絶たず、リリース開始から半年ほどで、利用者は20代を中心に数百人の規模になっている。

ゆとり世代の価値観、転職相談に33万円は「時計買うよりお得」ゲキサポのサービス画面 提供:ポジウィル

 ゲキサポは転職エージェントとは異なり、就職先を紹介するわけではない。あくまでユーザーの“相談”に乗ること自体がサービスになっている。米国では、周囲に対しても転職活動をオープンにすることが少なくないが、日本では周囲には隠して転職活動をするケースが多い。そのため、転職で悩んだ時にフラットなアドバイスがもらえる機会は意外と少なく、貴重なのだ。

 実際に2カ月間のサービスを受講し終えた20代のある男性は「辛かった仕事が楽しくなりました。このリターンを考えれば、時計や車を買うよりもよっぽど安い自己投資」だと満足気に振り返る。

「空気を読みすぎてしまう癖」を変える

 具体的なユーザー事例を紹介しよう。ゲキサポユーザーであるOさん(24歳・女性)は、海外の大学を卒業後、コンサルティング会社に就職した。だが、会社のカルチャーになじめず、入社1年をたたずしてストレスから体調を崩してしまった。産業医に休職するよう告げられ、思い切って退職を決意した。

「『とにかくこの会社にいたくない』という一心で辞めたものの、転職をして何がやりたいのか正直わかりませんでした。また、就活の時に深く考えず会社を選んでしまったせいでなじめなかったこともあり、1年足らずの社会経験で正しい転職ができるのか不安でした」(Oさん)

 そこで、第三者の意見やアドバイスを聞きたいと考え、ゲキサポに申し込んだ。ゲキサポでコーチング経験者のあるトレーナーから、自身の内面と向き合う「自己分析」を主軸にした面談を受けつつ、自身で転職活動を進めた。

「空気を読みすぎてしまう私の性格が、前職でうまくいかなかった原因のひとつでした。面談を通してそれを理解したトレーナーさんから『もっと自分の感覚に意識を向けてみて』とアドバイスをもらって。それからだんだん、自分の中で生じる喜怒哀楽や、ささいな変化に気付くようになっていき、自分の意見や気持ちを言えるようになりました」(Oさん)