不動産業界イメージ建設業界でさらに人手不足感が強まりそうな環境変化とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第3弾は「新しい時代のインフラを支える業界」として、「建設・不動産業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

 建設業界では、運輸、医療業界と共に例外的に認められていた時間外労働の上限規制の猶予が2024年に終了する。

 建設需要が比較的活況なこともあり、ゼネコンの受注は安定していて環境は悪くない。建築工事だけでなく、土木工事や公共工事も一定量を確保できる状況だ。今後、時間外労働が規制されるとより人手不足になるだろう。

 そのため働き方改革の一環として、これまで紙で管理していた図面や工程表をデジタルで管理できるアプリケーションを導入するなど、ICT(情報通信技術)を活用した業務効率化が進んでいる。

 他に、ドローンを測量に使う、設計を自動化する、ロボットが現場で施工する、3Dプリンターで建物を造るといった、人の手をなるべく使わない技術開発が、大手ゼネコンを中心に進められている。
 このような状況下、業界全体でIT人材の確保が必須となっているようだ。

 また、業績が伸びている大型の半導体工場を建設しているゼネコンでは、「エネルギーマネジメントの分野に関心・知識が深い人材が求められている」(野村證券アナリストの濱川友吾氏)という。

不動産業界では
新たな稼ぎ頭も登場

 一方、不動産業界は、オフィスビル、マンション、ホテル、商業施設などの開発が主軸だ。最近はデータセンターや物流施設などが新たな稼ぎ頭で、太陽光発電や脱炭素化といった建物のエネルギー最適化も進む。宅地建物取引士で、このあたりの専門知識もある人なら、活躍の場は広がるだろう。

 また、コロナ禍でリモートワークが進み、オフィスビルの供給過多が課題となっていた。最近は対面の重要性が見直されてオフィス回帰が進んでいるが、空室を埋めるためのテナント営業の人材はいつの時代も必要とされている。