【就活生必見!】新ビジネス参入で意外な人材が争奪戦となる通信業界の就職動向通信業界が求める中核人材は様変わりしつつある Photo:Diamond

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第4弾は「新しい時代の人をつなぐ業界」として、「通信業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

 通信業界では、令和に入り、総務省が通信料値下げの方針を打ち出したことで、顧客の利便性が高まった。一方で、通信事業者はモバイルだけの収益に頼ることなく、新しいビジネス展開を模索している。

 例えば、農業などで地域活性化を進める地方創生に参入したり、顧客のシステム開発、生成AIなど海外の優れたツールを日本で拡販するSIのような展開をしたりする企業も出てきた。

金融分野への参入が特徴
文系的な知見も生かせる

 中でも目立つ動きは、金融分野への参入だ。独自のポイント制度や電子マネー決済アプリなどで顧客を囲い込むなど、通信事業以外で収益を生み出し、そのお金を本業の設備投資に回していくというスキームを作っている。

 またモバイル事業の分野では、通信という垣根を超えた独自の経済圏を創ろうとしている異業種参入組も出てきている。

 さまざまな参入分野でデジタル人材のニーズが増す中、通信事業者はITエンジニアの採用に注力している。特に決済業務など金融系の知識がある人材の採用が進んでおり、銀行をはじめ金融事業者との競合が激しくなった。その中で優秀な人材が引き抜かれないように、働きやすさ、年収の見直しが進むなど、採用戦略も変わってきた。

 技術開発などで理系が重宝されるイメージだが、実は文系的な知見が生かせるケースも多い。例えば、製品購入の過程における「カスタマーエクスペリエンス」(顧客体験価値)では心理学的要素が必要とされ、コンプライアンスやリーガルテックに携わるなら法学的知識が必要となる。

 そのため、文系でもIT系の資格を持つなどITリテラシーが一定水準あれば、専門性が高い企業や部署に入り、キャリアアップできる可能性がある。