航空業界イメージPhoto:PIXTA

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第3弾は「新しい時代のインフラを支える業界」として、「航空業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

 コロナ禍で日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)共に業績が落ち込んだ航空業界だが、訪日外国人旅行者の増加などで回復傾向にある。

 そのため、社員の給与や採用もコロナ禍以前の水準に戻ってくるという見方も強い。

 アフターコロナの成長に向けて、JAL、ANAはマイレージ関連やドローン関連といった非航空事業の強化にも取り組む。航空事業で培ったノウハウを新規事業につなげようと模索しているわけだ。

国際的な能力が必要
チームワークも大事

 航空業界が定期的に採用する人材は、顧客対応をするキャビンアテンダント(CA)や機体整備関係の技術者が多い。特に機体整備は専門領域の仕事で、基本的に技術者を自社で育てなければならないため、常に人手不足感がある。 

 一方で、語学力も含めて国際的に活躍できる人材のニーズがより高まるだろう。「国内線は飽和状態で、今後は国際線の開拓が航空会社の成長基盤になるから」(東海東京調査センターシニアアナリストの金井健司氏)である。

 現在は世界的に観光・出張需要が戻ってきたため、外資系の航空会社がコロナ禍で解雇した人たちを再雇用している。大手航空会社がある米国ではインフレで賃金が上がっているため、日系は外資系との採用競争にさらされそうだ。

 とはいえ、日系に就職するメリットは小さくない。外資系と比べて雇用調整に慎重だからだ。コロナ禍のJAL、ANAは早期希望退職を一部で実施したが、基本的に配置転換などで対応し、外資系のような大量解雇はしなかった。この仕事の安定性こそが、日系の大きな特徴である。

 今後、企業成長のためには他業種との連携やグループ会社内での協力なども不可欠だ。そのため、協調性があり、チームワークを重視する人材も求められている。